新型コロナ後遺症 日本人4000人のデータから分かったことは?

新型コロナ後遺症 日本人4000人のデータから分かったことは?
以下は、記事の抜粋です。



12月14日に豊中市から、新型コロナに感染した4000人についての後遺症のデータが発表されました。これまでに新型コロナに感染した人を対象に、VOICEというモバイルアプリまたは紙アンケートで新型コロナ後遺症に関する調査を行い、新型コロナ後遺症の実態について調べたものです。

コロナ後遺症で頻度が高いのは、図に示したように「倦怠感」「息苦しさ」「嗅覚異常」「脱毛」「集中力低下」などです。

報道などでは「コロナ後遺症」という言葉がよく使われますが、厚生労働省は「罹患後症状」と呼び、診療の手引きを作成しています(筆者も編集委員です)。海外では「LONG COVID」「Post COVID-19 condition」などと呼ばれています。

定義は様々ですが「発症から少なくとも4週以上経過してからも続いている症状」を指すことが多く、この中には咳など発症時からある症状もあれば、脱毛など回復してから新たに出るものもあります

コロナ後遺症がなぜ起こるのかについては、まだ十分分かっていませんが、単一の原因ではなく、
・ウイルスの持続感染
・ウイルスによる組織障害
・自己免疫反応
・常在細菌叢の多様性の低下
・集中治療後症候群(PICS)
などが複合的に起こっていると考えられています。

参加者の背景としては、
・4047名(男性45.5%、女性54.5%)が参加
・平均年齢は44.3歳
・基礎疾患ありの方が42.8%
・感染時期から推測される変異株の種類は、オミクロンが77.3%、デルタが9.7%、アルファが7.4%、武漢株が5.6%
・78%が2回以上ワクチン接種済み
・急性期の重症度は中等症2が3.4%、重症が1.0%
というものでした。

症状は概ね1週間程度続きますが「自宅療養や隔離期間が解除になった後も何らかの症状が残っていた」という方が47.7%いらっしゃいました。研究が行われた時点では、自宅療養は10日間となっていましたが、その期間を過ぎても倦怠感や咳などが残っており、自宅療養期間を過ぎてもなかなかすぐに元通りというわけにはいかない、ということが分かります。

これらの頻度は、日本で行われた過去の報告と比べると、かなり少なくなっています。その理由としては、参加者の多くが軽症者であったこと、オミクロン株の時期の参加者が多く後遺症の頻度が減っていること、などが考えられます。また、このようなアンケート調査に回答してくださる方は、後遺症がない方よりもある方の方が多いと考えられるため、この研究の結果は実際の後遺症の頻度よりも多くなっている可能性があります。

なお、何らかの症状が1つでも残っている人は、発症から1ヶ月の時点で5.2%、2ヶ月で3.7%、100日で2.5%となっており、基本的にほとんどの人が時間経過によって症状が改善していくことが分かります。オミクロン株での感染者が大多数を占める中でも、発症から1ヶ月経っても約20人に1人がなんらかの症状が続いているという結果は、これまでの報告よりも頻度は低くなっているものの、やはり軽視できるものではないでしょう。

またワクチン接種により後遺症のリスクが下がるという海外の知見も合わせて考えると、基本的な感染対策はしっかりと行いつつ、ワクチン接種により感染リスク、重症化リスク、そして後遺症のリスクを下げることが重要です。


私の周辺でも発症して1ヶ月後も咳や微熱や不安感に悩んでいるヒトがいます。約20人に1人がなんらかの症状が続いていること(つらい目にあっているのは自分だけではない)や基本的にほとんどの人が時間経過によって症状が改善していくこと(そのうち治る)を伝えて、後遺症に悩むヒトを励ますことは大切だし、感染リスク、重症化リスク、そして後遺症のリスクを下げるワクチンを打つことの重要性を伝えることも大切だと思います。

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