L-カルニチンは心臓発作の予後を有意に改善
以下は、記事の抜粋です。
主要な対照試験のメタ解析に基づく研究結果によると、Lカルニチンは全ての原因による死亡の有意な減少に関連しており、プラセボや対照群に比べて、心筋梗塞を患った患者において心室性不整脈や狭心症発作による死亡を極めて有意に減少させることが、『メイヨー・クリニック紀要』誌に報告された。
L-カルニチンは、赤肉などの食品に多く含まれ、エネルギー、減量、運動能力改善を効能とした一般薬サプリメントとして広く入手可能である。
1987年から2007年に発表された、3629名の患者を含む13報の対照試験には、約250例の死亡症例が含まれ、その内220例は新規に心疾患を発症し、38例は心発作の再発であった。
メタ解析によると、L-カルニチンが下記の結果に関与していた。
o全ての症例における死亡率は27%有意に減少した(治療必要数38)
o心室性不整脈は極めて有意に65%減少した(治療必要数4)
o狭心症の発症は40%有意に減少した(治療必要数3)
o梗塞の大きさも減少した
研究者らは今回のメタ解析の全体的結果から、L-カルニチンが急性心筋梗塞に使用できる可能性を支持しており、また狭心症を含む二次的な冠状動脈疾患の予防や治療にも使用できることを示唆している。
元記事で指摘されているように、今日の記事が紹介する論文は、4月18日の記事「赤身肉のカルニチン、実は健康に悪い―心臓疾患リスクに」で紹介した”Nature Medicine”に掲載された論文と、まったく正反対の結論のようにみえます(関連記事)。
4月18日に紹介した研究では、消化管内にいる特定のバクテリアがカルニチンをTMAO(トリメチルアミンN-オキシド)と呼ばれる別の代謝物質に変え、これがアテローム性動脈硬化を促進させるとしています。さらに、心機能検査を受けた2595人の患者の記録を分析し、血中のTMAOが多ければ多い人ほど、心血管疾患、心臓発作、それに脳卒中を発症したり、死亡したりする可能性が高いことも発見しました。
しかし、今日紹介した論文の著者のカール・ラビー博士は、「私達の研究は急性心筋梗塞を患った人に対するL-カルニチンの役割を特に調査した、比較的大規模なメタ解析による確かな結論である。」と述べています。
大規模な前向きの二重盲検、無作為化、プラセボ対照臨床試験が行われないと結論は出ないと思いますが、メタ解析でメリットが示されたのは心筋梗塞後の場合ですので、健康な人はわざわざサプリを買ってまでして摂らなくても良いと思います。
関連記事
赤身肉のカルニチン、実は健康に悪い―心臓疾患リスクに
コメント