2型糖尿病治療薬の基本はメトホルミン、動脈硬化性心血管疾患の既往のある場合は、、、

大きく変わった糖尿病薬物療法アルゴリズム  ADA2018年版勧告
米国糖尿病学会(ADA)は、2型糖尿病患者の薬物療法のアルゴリズムが大きく変更された2018年版の勧告を発表しました。記事は、ポイントを以下のようにまとめています。


メトホルミンは、禁忌でなく、忍容性がある限りにおいて、2型糖尿病薬物療法の望ましい開始治療薬である

・メトホルミンの長期使用はビタミンB12欠乏と関連するかもしれず、定期的な血中B12測定を検討すべきである。特に、貧血や末梢神経障害のある患者ではそうすべきである

・新規に診断された2型糖尿病患者のうち、症候性であったり、HbA1c10%以上であったり、随時血糖値が300mg/dL以上の患者には、開始治療薬としてインスリン療法を考慮すべきである

・HbA1c 9%以上の新規診断2型糖尿病患者には、2剤併用での経口治療薬の開始を考慮すべきである

・動脈硬化性心血管疾患の既往のない患者で、3か月間目標HbA1cが達成できない場合、薬剤特異的な要素と患者ごとの要素を加味して追加薬剤を選択する

・薬物療法の選択においては患者中心アプローチを用いるべきである。すなわち、有効性、低血糖リスク、動脈硬化性心血管疾患の既往、体重への影響、潜在的な副作用、腎臓への効果、投与法、費用、患者の嗜好を踏まえて考慮する

・動脈硬化性心血管疾患の既往のある2型糖尿病患者では、生活習慣管理、メトホルミンで開始し、続いて、薬剤特異的な要素と患者ごとの要素に基づいた考慮の上で、主要有害心血管イベント(MACE)や心血管死への有効性を証明している薬物(現時点ではエンパグリフロジンとリラグルチド)を追加する

・動脈硬化性心血管疾患の既往のある2型糖尿病患者では、生活習慣管理、メトホルミンの後で、薬剤特異的な要素と患者ごとの要素に基づきつつ、MACEを減らすためにカナグリフロジンの追加を考慮してもよい

・継続した薬物レジメンの再評価や患者要素とレジメンの複雑さを考慮した調整を推奨する

・血糖目標を達成できない2型糖尿病患者に対する治療強化は遅らせるべきでなく、それにはインスリン療法の考慮も含まれる

メトホルミンは、禁忌でなく、忍容性がある限りにおいて、他の治療薬との併用において継続されるべきである


アメリカでは、2型糖尿病の治療薬は、メトホルミンが絶対的な第1選択薬であることはもちろん、第2選択薬を横並びにせず、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬…という序列付けが定着し始めているようです。特に、患者が動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を合併していて、メトホルミン単独でコントロールできない場合は、GLP-1受容体作動薬あるいは、SGLT2阻害薬を追加するということになります。

2型糖尿病患者は、ASCVDを合併していることは少なくありません。いきなり、DPP-4阻害薬を処方することも多い日本の糖尿病治療は、この勧告を受けてどう変わるのでしょうか?

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