経口薬を効率よく吸収させる方法をシミュレーション 飲んだ後の姿勢が重要だった!
以下は、記事の抜粋です。
ジョンズ・ホプキンズ大学のラジャット・ミタル氏らの研究チームは、経口薬を飲んだ祭の薬の吸収のされ方についてシミュレーションし、もっとも効率の良い方法について報告しました。
それによると右側に傾いた姿勢になることで正座状態の2倍早く薬を吸収できるというのです。なぜなら、錠剤が胃に流れた後、幽門(ゆうもん)と呼ばれる消化の際に開閉する弁を通過して腸に到着し、そこから血流に吸収される、という長い道のりを経なければいけないからです。
では、この経口薬の消化吸収をできるだけ早める方法はあるのでしょうか?
画像から分かる通り、胃は左右対称ではありません。そのため、経口薬を飲むときの姿勢が消化吸収に影響を与える可能性があります。
そこでミタル氏ら研究チームは、34歳男性のボディスキャン画像をもとに作成した「胃のコンピューターモデル」を使って、薬を飲むときの4つの姿勢で、消化吸収の速度がどのように変化するかテストしました。
テストされた4つの姿勢は次の通りです。
直立:まっすぐに立った状態。もしくは正座
右傾:右に寄りかかった状態。もしくは体の右側を下にして寝た状態
左傾:左に寄りかかった状態。もしくは体の左側を下にして寝た状態
後傾:後ろに傾いた状態。もしくは仰向けになって寝た状態
その結果、シミュレーションでは右傾姿勢で薬を飲むと、胃の一番深いところに薬が入り込み、直立姿勢で薬を飲むよりも、薬が2倍早く「溶ける」と判明。また左傾姿勢だと、直立姿勢に比べて薬の吸収に最大5倍の時間がかかることも分かりました。
ちなみに今回の結果は、1988年に発表されたユタ大学の「右側に横たわると、胃が食物を腸に排出する速度が向上する」という報告や、2008年に発表されたケルン大学の「右に傾いて座ったり立ったり寝転んだりすると経口薬の吸収が促進される」という報告とも合致しています。
とはいえ研究チームは、今回のシミュレーションにはいくつかの制限があることも認めています。錠剤の消化吸収には、胃の中の液体・ガス・食物の量も影響を与えますが、今回はそれらの要素がモデル化されていません。また遺伝の影響により、同じ薬を飲んだとしても得られる効果には人によって大きな差があります。
元論文のタイトルは、”Computational modeling of drug dissolution in the human stomach: Effects of posture and gastroparesis on drug bioavailability(ヒト胃内における薬物溶出の計算モデル化。薬物のバイオアベイラビリティに及ぼす姿勢と胃不全麻痺の影響)”です(論文をみる)。
この話は、逆流性食道炎の場合に胃内容を速く小腸に送るために右を下にした方が良いという話によく似ています。あくまでシミュレーションの話なので、おまじないと考えて実行してみてください。
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