世界には2京匹のアリがいる、総重量は1200万トン

地球には 20,000,000,000,000,000匹 のアリがいる。その重さは野鳥と哺乳類を合わせたよりも重い
以下は、記事の抜粋です。


1匹だと1mg~5mgほとの小さな存在のアリだが、地球全体ではどれくらいの数がいて、全部の重さはどれくらいになるのだろう?

科学者は世界中から集めたデータをもとに、正確なアリの総数と重さを計算してみたところ、地球上には少なくとも「2京匹」のアリがいることが判明した。その重さは炭素換算で「1200万トン」。これは全世界の野鳥と哺乳類の質量を超え、全人類の体重の5分の1に相当するという。

アリの数を数えた理由
アリは、生態系の中で大切な役割を果たしている。土壌の通気をよくし、植物のタネを広め、有機物を分解し、ほかの生き物の生息域を作り、捕食動物として食物連鎖の重要な部分をになっている。

アリの現状の数を知ることは、劣化する環境の中で彼らの状況を把握するため大切な基礎データとなるのだ。

世界中から集めたデータをもとに正確なアリの総数の推定
高度な社会的生活を営み、ほぼあらゆる生態系と地域に生息するアリは、1万5700種以上の種と亜種がおり、まだ学名がないものもある。そんなアリの数を推測した研究者は過去にもいたが、それはあくまで推測で、体系的で証拠に基づく調査が行われたことはなかった。

今回、香港大学のグループは、これまでに世界中でなされたアリの研究489本をもとに、証拠に基づいて実際にアリの個体数を推定してみることにした。研究の範囲は全大陸で、森林・砂漠・草原・都市など、アリの主な生息域はすべて網羅されている。

世界には2京匹のアリがいる、総重量は1200万トン
その結果が、冒頭で述べた「2京匹」という数字である。今回のデータは現地で実際にアリを捕獲して計測されたものなので、これまでの報告よりも信頼性が高い。

またアリの重さは、炭素に換算して推定された(生物の質量計測では一般的な方法)。その結果、2京匹のアリの炭素(バイオマス)は「1200万トン」と推定された。これは野生にいる鳥と哺乳類すべてを合わせたバイオマスよりも多く、全人類のバイオマスの20%に相当する。

なお炭素がアリの乾燥重量を占める割合は半分程度なので、ほかの部分を含めれば、さらに重くなるはずだという。

地域によってアリの数にかたより
この研究では、アリの生息域に偏りがあることもわかっている。生息域によって6倍の差があり、一番多いのは熱帯地方だった。これはアリの保全をするには、熱帯地方が重要であることを意味している。また熱帯のほか、森林や、意外なことに乾燥地にも多く生息していた。その一方、人間が手を加えた環境では数が少なかった。

今回の研究は、アリを集めた収集地域に偏りがあるほか、ほとんどが地表で採取されたもので、木の上や地下のアリはほとんど考慮されていない。その分、推定値が不完全であることに注意が必要であるそうだ。

アリは生態系に欠かすことのできない存在
アリは人間にとっても大切な「生態系サービス」をもたらしてくれる。たとえば、農薬の代わりにアリを使った害虫駆除が効果的であることがわかっている。

また、たくさんの植物がアリにエサや住処を提供する代わりに、外敵から守ってもらったり、タネを広めてもらったりしている。アリは捕食動物であり、ほかの種が増えすぎないようバランスをとる役割もある。

今世界では、人間による自然破壊・化学物質の使用・外来種の侵入・温暖化といった変化のために、昆虫の数が減少している。だが昆虫がどれほど減っているのか把握するには、基準となるデータが必要になる。今回のような研究が大切なのはそのためだ。


元論文のタイトルは、”The abundance, biomass, and distribution of ants on Earth(地球上のアリの生息数、バイオマス、分布の解明)”です(論文をみる)。

アリの重さが野生の鳥と哺乳類すべてを合わせたよりも多いのはそれほど衝撃ではないですが、ヒトの体重がそれの5倍もあることが衝撃でした。ヒトは増えすぎたような気がします。

アリは熱帯に多い。

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