バルサルタン:降圧剤臨床、京都府医大の3論文撤回 日欧2誌「重大な問題」

バルサルタン:降圧剤臨床、京都府医大の3論文撤回 日欧2誌「重大な問題」
以下は、記事の抜粋です。


京都府立医大のチームが09~12年に執筆した、降圧剤「バルサルタン」の効果に関する臨床試験の論文3本が、「重大な問題がある」などの理由で掲載後、相次いで撤回されたことが分かった。

臨床試験は高血圧患者約3000人を対象に、別の降圧剤とバルサルタンを併用した場合と、バルサルタンを使わない場合とで比較した。「併用群では脳卒中や狭心症が目立って減った」という結果を09年9月、欧州心臓病学会誌に発表。さらに、心臓肥大の症状がある患者への効果(11年3月)▽糖尿病患者らの心臓病発症防止効果(12年9月)について分析した2本の論文を、日本循環器学会誌に発表した。

だが日本循環器学会誌は昨年12月27日付で2本を撤回。欧州心臓病学会誌も今年2月1日付で取り下げた。日本循環器学会は「データ解析に極めて多くの問題点があることが判明し、医学論文として成り立たない」と話す。この試験をめぐっては、専門家から不自然さが指摘されていた。

大学側は昨年末、日本循環器学会の要請で調査を実施し、「研究に不正はなかった」と今年1月、報告した。毎日新聞の取材に松原教授は「データ集計の間違いで、故意(の捏造など)ではない」と書面で回答した。松原教授は現在、日本高血圧学会の理事で、日本循環器学会の理事も務めたことがある。

NPO法人「臨床研究適性評価教育機構」の桑島巌理事長は「一連の論文撤回で日本の臨床試験の信頼性が失われたことは重大な問題。不正の可能性もあり、真相究明のための一層の調査が必要だ」と指摘する。


京都府立医大の松原教授のグループの論文については、関連記事で紹介したように、上の記事で取り上げられているもの以外についても、いろいろと問題点が指摘されています。「使い回し」が明らかなようにみえる論文もあります。

上の記事にある、「大学側は昨年末、日本循環器学会の要請で調査を実施し、『研究に不正はなかった』と今年1月、報告した。」というのが事実ならば、府立医大はこれまで指摘されている問題の論文(例えば2004年と2005年のCirculation、関連記事をみる)についても、「研究に不正はなかった」と結論したのでしょうか?

松原教授自身が「”高度先進医療(Skill)、基礎的研究(Science)を行ううえで、もっとも重要なのは正直 (Sincerity) である」と言っておられるそうです。学会が指摘する「重大な問題」とは何なのか、できれば明らかにして欲しいと思います。

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コメント

  1. taniyan より:

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    tak先生
    お早う御座います。
    これは推測するに、製薬会社にも責任ありそう。
    普通多額の資金を提供してると推測するが製薬貨車にとっては藪蛇に近い。
    良い薬剤だと思うが。
               taniyan

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