ヴィーガン食は子どもを不健康にするのか?
以下は、記事の抜粋です。
肉や魚を食べないというのが菜食主義者(ベジタリアン)ですが、ヴィーガンは肉や魚に加えて卵や乳製品までをも食べないというライフスタイルです。近年、ヴィーガンの食生活が注目を集めていますが、成長期の子どもに対する影響を調査した結果、心血管の健康状態には良い一方で、身長や骨密度が低くなり、一生涯にわたって骨折のリスクが高り続けてしまうことが判明しました。
ポーランドのChildren’s Memorial Health Instituteのマルゴザータ・デスモンド博士らは、5~10歳の健康な雑食主義者(肉も野菜も食べる子)72人、ベジタリアン63人、ヴィーガン52人の計187名を対象に、それぞれの食に対するライフスタイルが身長や体組成、心血管リスク、栄養上にどのような影響を与えているかを調査しました。ベジタリアンの子は平均5.3年、ヴィーガンの子は平均5.9年、自身の主義に合致する食生活を続けていました。
被験者の健康状態を分析したところ、ヴィーガンの子どもは「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールの値が25%低く、心血管の健康状態が良く、体脂肪率の値も低かった。一方で、ヴィーガンの子どもは身長が平均3cm低い上に骨密度が4~6%低く、さらにビタミンB-12が不足している可能性が3倍以上高いことも明らかになりました。
この論文について解説する南オーストラリア大学のエヴァンジェリン・マンツィオリス博士によると、骨密度の95%が20歳までに構築されるため、「ヴィーガンの子が雑食の子に比べて骨密度が4~6%低い」というのは一生涯にわたって骨折するリスクが高くなる危険性があるとのこと。ヴィーガン食の場合は動物性食品から摂取できるカルシウム・ビタミンD・タンパク質など骨の発達と成長に重要な栄養素が摂取しづらいという問題があると指摘しました。
研究チームは今回の研究結果から、ベジタリアン・ヴィーガンの食生活を続けている場合には、ビタミンB-12とビタミンDをサプリメントなどの形で補給する必要があると言及。ベジタリアン・ヴィーガンの家庭にこうした認識を高めるための取り組みが必要だと主張しました。
ビタミンB-12がヴィーガン食で欠乏する可能性は以前の記事でも指摘されています。B-12は、カキ、アサリなどの貝やサンマやイワシなどの魚に多く含まれています(資料をみる)が、植物にはほとんど含まれていません。
記事によると、被験者となった子どもたちがいずれも「高度教育を受けた家庭」に属しているそうですので、ヴィーガン食でビタミンB-12が欠乏することは承知していてサプリなどで補おうとしているはずです。やはり、低身長や低骨密度の原因は、カルシウム・ビタミンD・タンパク質など骨の発達と成長に重要な栄養素が不足していると考えるべきでしょう。カルシウムサプリには「百害あって一利なし」です。心筋梗塞などの心血管リスクを上昇させるだけではなく、認知症リスク、さらには全死亡リスクまで上昇させるという報告があります(記事をみる)。やはり、ヴィーガン食は子どもを不健康にするような気がします。
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