「オリンパス」の損失隠し問題について多くの記事がありますが、私はこの記事がベストだと思います。以下は、記事の抜粋です。
高山新社長は、1990年代までさかのぼる投資の損失を隠すために、取締役会内部で20年間にわたって会計操作が行われていたことを明らかにした。損失が架空の買収を使って償却されていたのだ。
オリンパスの前会長、菊川剛氏らは、失敗を隠し、前任者たちの体面を汚さないようにすることが義務だと思ったのかもしれない。もしそうだとしたら、彼らは間違っていた。正直に話していた方が、同社の投資家だけでなく、従業員、監査役、日本企業にとってもはるかに良かった。
これまでの証拠から見ても、口をつぐみ、仕事を失わないようにするよりも、むしろ公表することにしたウッドフォード氏(解任された元社長)の判断が正しかったことを示している。菊川氏は、ウッドフォード氏がオリンパスの「社会的信用を貶めようとしている」と非難したが、実際に貶めたのは菊川氏自身である。
エンロンの破綻や「レポ105」という粉飾決算手段を用いたリーマン・ブラザーズが示すように、会計スキャンダルは決して日本独自のものではない。それでも、買収に過剰な金額を支払い、それを減損処理するという広く蔓延する習慣につけ込むことで損失を隠すという、オリンパスが認めた行為の規模と大胆不敵さは驚異的だ。
この事件は、日本にとって大きな教訓となったはずだ。物事がうまくいかなくなった時に、問題の本当の深刻さを認めるよりも、むしろ「軟着陸」を企てることは、不信を生むということである。
企業の取締役会は、たとえ誰を困らせることになっても、規律が適用されていることを確実にするのが仕事だ。オリンパスの取締役たちは、代わりに自分たちを守った。菊川氏は立派な意図を持っていたかもしれないが、不正直は恥ずべきことだ。
上の記事で「教訓」というのは、”lesson”の訳だと思われます。しかし、この事件で日本人が学んだことは、残念ながら、「物事がうまくいかなくなった時に、問題の本当の深刻さを認めるよりも、むしろ『軟着陸』を企てることは、不信を生む」という教訓ではないと思います。
むしろ、「外国人を社長にしたのが間違い」などと考えている方が圧倒的に多いでしょう。現に、前任者の誤りを指摘した社長は解任され、復帰できない状況は今も続いています。実際には、組織の社会的信用が毀損されそうな失敗が発生した場合、問題の本当の深刻さを認めずに隠蔽し、うまく「軟着陸」できてホッとしている組織が、私の身近も含めて、そこらじゅうにたくさんあるように思います。
組織が失敗を隠蔽するのは、その自己保存本能に基づく自然な行為です。告発した個人を保護するだけでなく、組織による隠蔽を強く罰するルールでも作らない限り、今後もこのような組織の失敗を隠蔽しようとする行為は減らないと思います。
コメント
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軟着陸。。日本人特有の性質として穏便に済まそうとす表向きの和が実は個人を守るための和だと今だに気付いていないのでしょう。本当の和とは何かと。。軟着陸かぁ。。 実は海外の表向き個は意外と集団を考えて行動していると思いますが、どうでしょか?