コナジラミは、植物毒素を中和する植物解毒遺伝子をハイジャックした

植物の遺伝子を「食べる」ことで獲得した昆虫を発見! 植物から動物へ遺伝子が水平伝播する
以下は、記事の抜粋です。


食べることで相手の遺伝子を取り込む…。そんなSFのような現象が動物と植物の間に起きていたようです。コナジラミと呼ばれる昆虫の遺伝子に、植物の遺伝子が紛れ込んでいました。

種の壁を超えた遺伝子の移動は菌類同士などではよく起こり得ますが、植物と動物という根本から大きくかけ離れた種間の遺伝子移動が確認されたのは、コナジラミ以外、あまり知られていません。

コナジラミはいったいどんな遺伝子を植物から盗んだのでしょうか?
おおよそ3500万年から8000万年前、コナジラミの先祖は植物の葉に降り立ち、葉脈から水分を吸いあげました。この時、ある種の奇跡が起きました。吸い上げた体液に含まれていたであろう植物の「BtPMaT1」という遺伝子が、コナジラミの細胞に紛れ込み、そのコナジラミは、なんと植物の遺伝子を持つ体になってしまったのです。

多くの植物(トマトやナシ)はコナジラミのように体液を吸い取る虫に対抗するために、体液にある種の毒(フェノール配糖体)を流すように進化しました。そして、「BtPMaT1」には進化の過程で、植物が自分を毒殺しないための中和薬を作る役割があったのです。

「BtPMaT1」を得たコナジラミは植物の毒素をものともせずに食事をとることが可能になり、現在に至るまで大いに繁栄し、農業にとって深刻な害虫として幅をきかせるようになってしまいました。

では、いったいどうやってコナジラミは植物の解毒遺伝子をゲットできたのでしょうか?研究者たちが最も可能性が高いと考えたのはウイルスの存在でした。植物とコナジラミの両方に感染するウイルスがいたとすると、植物の遺伝子を取り込んでしまったウイルスがコナジラミに感染することで、植物からコナジラミに遺伝子を運ぶことが可能になります。

研究者たちは、解毒剤遺伝子である「BtPMaT1」を働かなくする薬を与えたコナジラミに毒であるフェノール配糖体を含む「トマト」を食べさせてみました。実験を行った結果「BtPMaT1」の働きをを失ったコナジラミはトマトを食べて全滅しました。
今回の研究により、植物から動物に遺伝子が水平的に遺伝することが示されました。植物から動物への水平遺伝は非常にまれだと考えられますが、無数の草食昆虫たちが数千万年の時間をかけてトライを続けることで可能になったと考えられます。


元論文のタイトルは、”Whitefly hijacks a plant detoxification gene that neutralizes plant toxins(コナジラミは、植物毒素を中和する植物解毒遺伝子をハイジャックした)”です(論文をみる)。

とてもおもしろい研究だと思います。以下の図がわかり易いので上の記事から転載しました。



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