睡眠剤混入の皮膚治療薬 服薬の患者が死亡 記憶喪失など128件
以下は、記事の抜粋です。
福井県あわら市の製薬会社「小林化工」が製造した爪水虫などの皮膚治療薬に睡眠導入剤の成分が混入していた問題で、同社は12月11日、この薬を服用した患者が死亡したと発表した。死者が判明するのは初めて。
同社によると、患者は経口抗真菌剤のイトラコナゾール錠50「MEEK」を服用し、10日に死亡した。同社は服薬と死亡との因果関係などを詳しく調べる。
この薬を飲んで意識消失や記憶喪失などの健康被害が出たとの報告が10日正午時点で128件に上り、県が立ち入り調査を実施している。
専門家向けサイト(DIonline)の記事によると、当該薬剤を処方された患者から、ふらつき、意識もうろうなどの精神神経系の重篤な副作用が報告され、製造過程でベンゾジアゼピン系睡眠薬のリルマザホン塩酸塩水和物が、通常臨床用量を超えて混入していたことが判明したそうです。
当該薬剤の服用に伴う健康被害は非重篤7例、重篤6例が報告されています。具体的には、服用直後に意識もうろうとし救急搬送された、ふらつき後に体調不良が生じ救急搬送された、眠気や物が二重に見え自動車運転中に意識もうろうとして中央分離帯に接触した、ろれつが回らないなどの症状で救急搬送されて入院したが原因が分からず、退院後に服薬を再開し症状が繰り返した――などです。
イトラコナゾールは、内臓真菌症(深在性真菌症)に対して100〜200mgを1日1回食直後に経口投与するとされています(年齢、症状により適宜増減)。
リルマザホンは睡眠薬として広く用いられている薬で、通常、成人は1回半錠〜1錠(主成分として1〜2mg)を就寝前に服用します。半減期は10.5時間で最高血中濃度到達時間は3時間です。今回の事件では、「イトラコナゾール錠50『MEEK』」1錠中にベンゾジアゼピン系薬物であるリルマザホンが最大用量の2.5倍(5mg)、同薬4錠では10 倍(20mg)が含まれる計算になります。
真菌感染症の患者が通常量(100〜200mgを1日1回食直後)飲めば、リルマザホンを10〜20mg飲むことになり、確実にフラフラになり患者さんによっては呼吸障害も不思議ではありません。
今回は、このように顕著な症状が出たので発見されましたが、他の症状が出にくい薬が混入していた場合、何となく体調がおかしいぐらいで終わった可能性が高いです。
政府は、価格の安い後発品(ジェネリック)の使用を推奨してきました。「先発品と本当に同じ効果があるのか?」などと言われながら真面目に努力してきた後発品メーカーも多いと思いますが、Meiji Seikaという大手が販売する後発品でこのような「手抜き生産」と「管理不足」による他剤の混入事例があると、後発品(ジェネリック)全体の信頼が無くなってしまいます。
先発品メーカーは特許切れに苦しみ、後発品メーカーはコストダウンの限界に苦しむ。そんな時代です。
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