抗PCSK9抗体エボロクマブの追加は高用量スタチン使用患者の血中LDLコレステロールを半減させる

A 52-Week Placebo-Controlled Trial of Evolocumab in Hyperlipidemia
以下は、論文要約の抜粋です。


proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 (PCSK9)を阻害するモノクローナル抗体であるエボロクマブ(evolocumab)による高脂血症の52週間の治療の安全性と有効性を検討するために第3相試験を行った。

高脂血症患者を、食事療法、食事療法+アトルバスタチン10mg/日、食事療法+アトルバスタチン80mg/日、食事療法+アトルバスタチン80mg/日+エゼチミブ10mg/日のいずれかで4~12 週の導入期治療を行い、その後、4週ごとにエボロクマブ(420 mg)を追加投与する群とプラセボ群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、LDLコレステロール値のベースラインからの変化率とした。

エボロクマブ群のLDLコレステロール値の低下率は57.0%であった。基礎的療法別にみた場合、食事療法のみで55.7%、低用量アトルバスタチンで61.6%、高用量アトルバスタチンで56.8%、エゼチミブ併用の、高用量アトルバスタチンで48.5%であった。エボロクマブの投与により、apolipoprotein B、non–high-density lipoprotein cholesterol、リポ蛋白(a)、トリグリセライドの値も有意に低下した。


evolocumabは「AMG 145」とよばれていたアムジェンのLDL受容体分解酵素PCSK9に対するモノクローナル抗体です。PCSK9に対するモノクローナル抗体は、他にもサノフィとリジェネロンのアリロクマブやファイザーのボコシズマブが開発中です。これらのメカニズムなどについては、最近以前の関連記事に書いています。

抗体医薬としての問題はいろいろありますが、LDLコレステロールを低下させる作用は強力です。今後は低分子量PCSK9阻害薬の開発競争が激しくなると思います。

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