ロシアの新型ウイルスワクチン、「抗体反応を誘発」…第2相試験の結果が報告されました

ロシアの新型ウイルスワクチン、「抗体反応を誘発」=英医学誌
以下は、記事の抜粋です。


英医学誌ランセットは9月4日、ロシアで開発された新型コロナウイルスのワクチンについて、初期の臨床試験で抗体反応がみられたとの試験結果を掲載した。

ロシアが開発した新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」

この報告によると、臨床試験でワクチンを投与された全参加者に、新型ウイルスと戦う抗体が生成された。深刻な副作用はみられなかったという。

ロシアは先月、世界で初めてワクチンの使用を許可した。同国のウラジミール・プーチン大統領によると、すでに同氏の娘が接種を受けたという。

「スプートニクV」の臨床試験は6月から7月の間に実施された。それぞれの臨床試験には18歳から60歳までの健康なボランティア38人が参加。1回分のワクチンが投与されたあと、3週間の間隔をあけてもう1度投与された。参加者を42日間観察したところ、3週間以内に全員の体内に抗体が生成された。よく見られた副作用は頭痛と関節痛だったという。

試験はオープンラベル(参加者がどのような治療を受けているかを認識した状態で行う試験)で行われ、ワクチンの投与対象者を無作為に選ぶことはなかった。つまり、プラセボ(偽薬)は用いられず、参加者は自分たちがワクチンを投与されることを認識していた。

このワクチンは、通常の風邪を引き起こすアデノウイルス(Ad5とAd26)の株を利用し、免疫反応を引き起こすもの。

世界保健機関(WHO)によると、現在世界中で開発されている新型ウイルスに有効かもしれないワクチンは176種類ある。そのうち34種は人を対象にした試験が進められており、8種類は最も進んだ第3段階にあるという。

臨床試験の第2段階で、ワクチンを投与された参加者全員に抗体反応がみられたといって、必ずしも新型ウイルスから守ってくれるというわけではない。有効性はまだ証明されていない。

この結果から、このワクチンは18歳から60歳までの健康な人の場合、42日間は安全なようだ。試験が実施された期間は42日間なので、分かるのはそこまでだ。では、COVID-19の重症化リスクが最も高い高齢者や基礎疾患のある人たちの場合はどうだろうか。


元論文のタイトルは、”Safety and immunogenicity of an rAd26 and rAd5 vector-based heterologous prime-boost COVID-19 vaccine in two formulations: two open, non-randomised phase 1/2 studies from Russia”です(論文をみる)。

一般的に、臨床試験では、安全性と有効性を段階的に確認していきます。第1段階は第1相試験と呼ばれ、10~20人程度の少人数の患者を対象に、新しい薬候補などの、人への安全性や体内動態(薬物の吸収、分布、代謝、排泄)などを調べ、最適な用法・用量を確認します。第2相試験は、やや多い30~80人を対象に、前段階で確認した用法・用量で有効性と安全性を調べます。最終段階の第3相試験では、100~1000人の患者を対象に、標準治療やプラセボ(偽薬)との比較を行い、そこで有効性と安全性が検証されれば承認申請を行います。

つまり、薬やワクチンの場合、臨床試験参加者(医師も被験者も)が自分が投与されているのがワクチンなのか偽薬なのかを知らない、もっと大規模で長期的な無作為化試験を行ってはじめて有効性が確認されます。論文で報告されたのは第2相試験の結果です。ロシアは第3相試験の前にこのワクチンを承認したという事です。

上の記事によると、現在世界中で開発されている新型ウイルスに有効かもしれないワクチンは176種類あって、そのうち34種はヒトを対象にした試験が進められており、8種類は第3段階にあるそうです。できれば、第3相で有効性と安全性が確立したものを使いたいです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする