情報社会とニセ科学: 血液型性格判断と「信じる心」

情報社会とニセ科学: 血液型性格判断と「信じる心」

長崎大学教育学部数理情報講座の長島雅裕さんが「情報社会と科学」という授業で用いたスライドPDFです。以下は、抜粋です。


情報社会とニセ科学
● 世の中、情報が氾濫しています。
● 正しい情報、間違った情報、重要な情報、不必要な情報、玉石混交です。
● だまされないために、そして、知らず知らずのうちに、あなたが他人をだますことのないように、情報を吟味する術を持たなければなりません。
● 私の担当分では、特に「科学」を装いながら、実は非科学的な言説ーしかも多くの人が信じてしまっているーを取り上げます。

血液型と性格は関係あるか?
● 関係ありません。 (←実生活に「使える」ほどには)
● 大規模な統計的研究により、血液型と性格の間に相関は見られないことが示されている。
● 無論、医学的・生理学的に血液型物質が性格に影響を与えるということも示されていない。
● そもそも「性格」ってナニ?
● なんで「当たる」と思うのか? →ニセ科学を信じる心理
● なんでここまで信じられているのか? →情報社会のワナ

海外では?
● 欧米ではほぼ信じられていない。安易に血液型を訊くのはやめましょう(プライバシーの侵害と受け止められることも)。
● 韓国・台湾などではかなり広まっているらしい(韓国は日本より深刻?)
● 20世紀初頭ドイツ:黄禍論+ABO式血液型の発見→ヨーロッパ系民族(A型多)はアジア系(B型多)より優れている(優生学思想の一つ)
► その後ナチスにより拡大、「生きる価値のある人間」と「生きる価値のない人間」とに選別する思想
● 差別につながる
► 本人の努力ではどうにもならないことを理由にする
► ⇔出生地、民族、肌の色、・・・

どうして「当たる」と思うのか?
● 誰でも当てはまることがら
● 性格の二面性の一面しか見ていない
► 違うかな、と思っても、「それはアナタの隠された一面です」と言われると、そうだなと思う
● バーナム効果
● 自己成就予言
● 錯覚

誰にでも当てはまる言説
● O型 ”単純”といわれると傷つく、腹が立つ。
● AB型 睡眠不足に弱いらしく、眠ってはいけない場面でも睡魔にだけは勝てない。
● B型 何が嫌って、束縛されるのが一番苦手。
● A型 自分は誠実な人間だと思っている。
○ たいていの人は、どれにも当てはまるであろう
○ 普通の人は、自分の血液型のところしか見ない。


最近、日本神経科学会は、いわゆる「神経神話」として、「3歳までが学習を最も受け入れやすい」「右脳左脳人間」「脳は全体の1割しか使っていない」などを否定しました。

血液型性格判断については、あまりにバカバカしいのでどの学会もコメントしないのかもしれませんが、ちゃんと科学的に葬り去って欲しいものです。

もっともらしい「データ」の例

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