運動は本当に認知機能に良い?
以下は、記事の抜粋です。
グラナダ大学(スペイン)のLuis Ciria氏によると、運動の認知機能上のメリットとなる可能性についての研究は、研究参加者が少ない、潜在的なバイアスリスクが高いなど、研究の質が低いものが少なくないとのことだ。
同氏らは、これまでに報告されてきた運動の認知機能に対する影響を検討し、24件の無作為化比較試験のデータを統合したメタ解析を施行。その結果、運動にはわずかに有意な効果が認められたが、研究参加者のベースライン時点での運動量を調整すると、有効性は小さくなり、出版バイアスを調整すると有意性が消失した。
解析対象とした研究には、さまざまな解釈上の注意点があった。例えば一部の研究は、比較対照群をほとんど運動していない人たちとしていたり、ベースラインの認知機能が対照群より低いという条件で比較されていた研究もあった。そのような研究では当然のように、運動介入群でより大きなメリットが観察される傾向があった。Ciria氏は、「認知機能維持のための公衆衛生対策として運動が推奨されているが、われわれの研究結果に基づけば、運動が有効と断言はできない」と述べている。
この報告に対して、「今回の報告は介入研究のみに焦点を当てており、ほかの手法による研究から得られた重要なエビデンスが反映されていない」とか、「運動によって認知機能が上昇することはないかもしれないが、リスクの高い人の認知機能低下を防ぐことはできるかもしれない」とか、「この研究は、運動と脳の健康との関係についての多くの未解決の問題を指摘しており、このトピックの決定的な結論を導き出す前に、より多くの研究が必要であることを示している。無作為化比較試験からのエビデンスは不十分だが、そのことが運動にはメリットがないことを意味するものでもない」などの意見が他の研究者から出ている。
がっかりするヒトも多いかもしれませんが、運動が2型糖尿病や脂質異常症を防ぐことや、2型糖尿病や脂質異常症のヒトの認知症リスクが高いことは確かなので、運動は続けてください。
コメント