中等~重症COVID-19に高用量ビタミンD3単回投与は有益か?
以下は、記事の抜粋です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、高用量のビタミンD3単回投与はプラセボと比較し、在院日数を有意に減少させることはないことが示された。
サンパウロ大学医学部のIgor H. Murai氏らが、ブラジル・サンパウロの2施設で実施した無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。COVID-19に対するビタミンD3補給の有効性はこれまで不明であったが、結果を受けて著者は、「中等症~重症COVID-19患者の治療として高用量ビタミンD3の使用は支持されないことが示された」と述べている。
研究グループは、2020年6月2日~8月27日の期間に中等症~重症COVID-19入院患者240例を登録し、ビタミンD3投与群(20万IU単回経口投与)(120例)またはプラセボ群(120例)に無作為に割り付け、2020年10月7日まで追跡した。
主要評価項目は在院日数(無作為化から退院までの期間と定義)、事前に設定した副次評価項目は在院死亡、集中治療室(ICU)への入室、人工呼吸器を必要とした患者の割合および人工呼吸器装着期間、血清25-ヒドロキシビタミンD値、総カルシウム濃度、クレアチニン、C反応性蛋白(CRP)などであった。
在院日数は中央値で、ビタミンD3群7.0日、プラセボ群7.0日で、両群間で差はなかった。また、ビタミンD3群とプラセボ群との間で、在院死亡率(7.6% vs.5.1%、p=0.43)、ICU入室率(16.0% vs.21.2%、p=0.30)、人工呼吸器装着率(7.6% vs.14.4%、p=0.09)で有意差は確認されなかった。血清25-ヒドロキシビタミンD値は、ビタミンD3群においてプラセボ群より有意に増加した(44.4ng/mL vs.19.8ng/mL、p<0.001)。有害事象は確認されなかったが、介入と関連した嘔吐がみられた。
元論文のタイトルは、”Effect of a Single High Dose of Vitamin D3 on Hospital Length of Stay in Patients With Moderate to Severe COVID-19, A Randomized Clinical Trial”です(論文をみる)。
国立感染症研究所の忽那氏もこの問題について調べた結果を記事にしています(記事をみる)。以下が忽那氏の結論です。まったく同感です。
新型コロナの発症や重症化を予防できるかどうかは結論が出ていません。今も複数の研究が進行していますので、ビタミンDサプリを買うのはその結果を見極めてからが良いでしょう。私も現時点では特にビタミンDサプリメントを摂ったりはしていません(「ていうかおまえはその前にやせろ」と言われそうですが)。
ただし、ビタミンDの摂取は骨の健康を保つためには必要なものであり、そういった意味で、ビタミンD不足になることは避けるべきです。
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