新型コロナ治療薬の現状

新型コロナ治療薬、新たな有力候補が急浮上
新型コロナ治療薬の現状が良くまとめられています。以下は、記事の抜粋です。


米クリーブランド・クリニックのアダーシュ・ビムラージ氏は言う。氏は米感染症学会が作成した新型コロナ治療ガイドラインの主要な著者の一人だ。
現在、新型コロナ感染症で有効性が広く認められている薬は2つしかない。ひとつは、高価な抗ウイルス薬のレムデシビル。ウイルスの増殖を阻害し、入院期間を短縮できるが、致死リスクを低下させる効果はないとみられている。もうひとつは、低価格のステロイド剤のデキサメタゾン。新型コロナ重症患者の致死リスクを低下させることが確認された唯一の治療薬だ。「間違いなくステロイドは有効だと考えられています」とビムラージ氏は言う。
安全でより有効な治療法が新たに発見される日は近いかもしれない。ビムラージ氏をはじめとする研究者たちが数十の治療法を検討するなかで、ビムラージ氏が特に期待している薬がふたつある。
ひとつは免疫を抑制する効果があるトシリズマブで、関節リウマチの治療に現在使われている抗体薬だ。新型コロナの重症例では、サイトカインストームと呼ばれる免疫反応の暴走によって重篤な炎症が起きることがある。トシリズマブにはデキサメタゾンと同様、この暴走を抑制する効果がある。
もうひとつの薬は、関節リウマチ治療薬として使用されているバリシチニブだ。NIHは、アレルギーやその他の疾患によりデキサメタゾンなどのステロイド薬を投与できない新型コロナ重症患者に、バリシチニブとレムデシビルの併用を推奨している。
回復者から提供された、新型コロナの抗体を含む血漿を患者に投与する回復期血漿療法についてもガイドラインが変更されている。米食品医薬品局(FDA)は2月4日、抗体価が低い血漿には効果がないというエビデンスに言及し、承認を抗体価が高い血漿に限定した。また、投与の対象を発症早期の入院患者に限定するとした。
ヘパリンなどの血液抗凝固剤を用いた治療法も注目されている。この治療法では、新型コロナ感染症に伴う血栓のリスクを低下させ、患者の状態悪化を防ぐ効果が期待されている。だが、重症化した患者には抗凝固剤は効果がないだけでなく症状が悪化することもあると強調した。
臨床医たちは、コルヒチンの効果に対して疑念を抱いている。というのは、論文が少人数の患者群に基づいているからだ。また、コルヒチンが致死率を低下させたかどうかも明確ではない。
それでも、短期間で新型コロナの致死率を低下させる効果が最も大きいのは、治療薬ではなくワクチン接種だと専門家は力説する。現在、ワクチン接種は米国内や世界中で進められており、承認済みのすべてのワクチンには生命が脅かされる事態を防ぐ高い効果が確認されている。

「新型コロナウイルスは人類に適応して変化しています。でも幸いなことに、私たちも知恵を絞って科学技術を駆使し、相当なスピードでこのウイルスに適応しています」とビムラージ氏は言う。


日本医事新報社が2020年5月に行った読者アンケートの結果 (https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14781)

アビガン®(ファビピラビル)についての記載はありません。

政府は2月24日、観察研究などでの国内のCOVID-19患者へのアビガン投与が「約1万例」に上っていることを政府答弁書で明らかにしました。アビガンについては、富士フイルム富山化学が国内治験のデータを基にCOVID-19の効能・効果追加の承認を昨年10月に申請。しかし、12月の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の審議で「現時点で得られたデータから有効性を明確に判断することは困難」との理由で「継続審議」とされ、アビガンは未承認のまま観察研究などの枠組みでCOVID-19の治療に使用されています。また、45カ国にアビガンを無償供与したことも報告されました。現在、部会での再審議に向けて医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審査が行われているそうです(記事をみる)。科学的な根拠もなくアビガンの効果を信じる「アビガン信者」の発生を止めるにはネガティブなデータも含めた情報公開が必要だと思います。

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