新型コロナウイルスにり患した重症患者の疫学、臨床経過、転帰…ニューヨーク市での前向きコホート研究
以下は、論文抄録を和訳した抜粋です。
背景
2020年4月28日現在、米国ニューヨーク州では4万人以上の新型コロナウイルス(COVID-19)患者が入院している。このような状況下でのCOVID-19を有する重症患者の疫学、臨床経過、転帰に関するデータが必要とされている。
方法
この前向き観察コホート研究は、マンハッタン北部にあるコロンビア大学関連病院に2020年3月2日から4月1日までに入院した成人患者(年齢≧18歳)のうち、COVID-19と診断され、急性低酸素血症性呼吸不全を伴う重症患者を前向きに同定し、臨床データ、バイオマーカー、治療データを収集した。主要転帰は院内死亡率とした。副次的転帰として、侵襲的機械換気の頻度と期間などを含めた。
所見
2020年3月2日から4月1日までの間に、両病院に実験室でCOVID-19が確認された成人1150例が入院し、そのうち257例(22%)が重症であった。患者の年齢中央値は62歳(IQR51~72)で、171人(67%)が男性だった。重症者のうち212人(82%)の患者は少なくとも1つの慢性疾患を有しており、その中で最も多かったのは高血圧症(162人[63%])と糖尿病(92人[36%])であった。119人(46%)の患者が肥満であった。2020年4月28日現在、101人(39%)の患者が死亡し、94人(37%)が入院したままであった。203例(79%)の患者が中央値18日間の侵襲的機械換気を受け、257例中170例(66%)が昇圧薬を投与され、79例(31%)が腎代替療法を受けていた。院内悪化までの期間中央値は 3 日間であった。多変量Coxモデル解析の結果、入院死亡に関連した独立リスク因子は、高齢(ハザード比が10年増あたり1.31)、慢性心疾患(補正後ハザード比:1.76)、慢性肺疾患(同:2.94)であった。インターロイキン-6の高濃度(補正後ハザード比:1.11 per decile increase)およびDダイマーの高濃度(同:1.10 per decile increase)も院内死亡に関連していた。
得られた所見
ニューヨーク市でCOVID-19で入院した患者の重篤な疾患は一般的なものであり、侵襲的な機械換気、肺外臓器機能障害の頻度が高く、院内死亡率が高いことと関連していた。
慢性の肺疾患の死亡リスクが高いことは既に分かっていましたが、死亡リスクが約3倍だとは思いませんでした。この病気の怖さがよくわかる報告だと思います。
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