「オンラインかかりつけ医」の可能性について

オンライン診療恒久化の流れに「かかりつけ医」しか打ち出せない日医の限界
以下は、記事の抜粋です。


初診も含めたオンライン診療、平時も解禁へ
菅首相は政権発足初日に田村 憲久厚生労働相に「オンライン診療の恒久化」を指示しました。その後、恒久化へのシナリオは着実に進んでいます。

10月7日、政府の規制改革推進会議は「議長・座長会合」を開き、オンライン診療・服薬指導について「デジタル時代に合致した制度として恒久化を行う」という方針を確認しました。そして、翌8日には田村厚労相が平井 卓也デジタル改革相、河野 太郎行政改革相と会談。初診も含めたオンライン診療の原則解禁について3大臣が合意しました。今後、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において、安全性を確認しながら対象などを改めて整理することになっています。

「かかりつけ医やかかりつけ医機能を基軸に」と中川会長
一方、日本医師会の中川俊男会長は、日医のオンライン診療に対する基本的なスタンスは、9月24日会見時の「解決困難な要因によって、医療機関へのアクセスが制限されている場合に、対面診療を補完するもの」という考え方から変わらないとしたうえで、「安全性と信頼性をオンライン診療の必須条件として位置付けていかなければならない。さらに有効性も担保される必要がある」とし、「安全性と信頼性の確保に向けては、かかりつけ医やかかりつけ医機能を基軸にすべきだ」と述べました。

なお、2013年8月に提言した「医療提供体制のあり方」の中で示されたように、「かかりつけ医」を「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義、具体的なかかりつけ医機能4項目も示しています。

資格もなく曖昧な「かかりつけ医」の概念
「かかりつけ医」は、医療の世界でよく使われる言葉ですが、定義した内容が国民に十分に浸透、定着しているとは言えません。そもそも、この定義に合致した医師を養成する仕組みや、研修制度などをベースにきちんとオーソライズする仕組みもありません。

オンライン診療に向け、「かかりつけ医やかかりつけ医機能を基軸すべきだ」と言われたところで、その概念が曖昧で確固たる実態がないままでは、議論を進めようがありません。

コロナ収束までの時限的措置だったオンライン診療ですが、一定数の患者が新たにそこに流れた、ということは、かかりつけ医を持たない(あるいはかかりつけていた医師への受診にこだわらない)国民がそれだけいた、ということです。

「オンライン健康相談にも診療報酬を」
中川会長は、民間企業が提供するオンライン健康相談サービスについて、国による定義付けや業界ガイドラインの作成などのルールづくりが必要だ、と提言。さらに、かかりつけ医が診療行為の一環としてオンライン健康相談を行った場合は、診療報酬で適切に評価することも提案しました。

医師以外での相談業務にはオンライン健康相談ではなく「オンライン生活相談」等の名称とすることも提案しました。さらに、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で、医師以外による「遠隔健康医療相談」において「受診不要の指示・助言」も可能とする点も、「原則的にできないようにすべき」と述べています。

これら中川会長の一連の発言を聞いていると、「健康相談すらも医師しかできない業務にしろ」と言っているように聞こえます。診療前の健康相談までを医師のルーチンワークに入れてしまったら、医師のハードワークはいつまでたっても解消されないのではないでしょうか。

「かかりつけていてもかかりつけ医ではない」レギュレーションを
オンライン診療恒久化の流れに対し、「対面原則」「かかりつけ医、かかりつけ医機能を基軸」を押し通すなら、ここは改めて「かかりつけ医」というものを再定義し、きちんとした専門資格として世の中に問うべきだと思います。

私としては、88歳の老人の不定愁訴に対し、診断名も告げず「老化ですね」と言うだけで、漢方薬を適当に処方するような医師は、「かかりつけていてもかかりつけ医ではない」という、厳しめのレギュレーションを設けてもらいたい、と思う今日この頃です。


医師会が考える「かかりつけ医」とは違うかもしれませんが、「オンラインかかりつけ医」みたいな医師が登場する可能性があります。それは、住んでいるところに関係なくオンラインでいろいろな患者の情報を得て診断し、薬を処方したり、専門医を紹介する医師です。

採血やCT撮影などの検査が必要だと思われる場合は、患者の近隣の信頼できる病院に診療情報をつけて紹介し、検査結果をフィードバックしてもらえば済みますし、手術などの処置が必要な場合でも、同様に患者の近くの病院に紹介すればよろこんで治療してくれるはずです。

患者にとっても医師とLINEやMessengerでつながっていれば、日曜日は休んでしまう近くの「かかりつけ医」よりも安心でしょう。何よりも、ほとんど元手なしで開業できそうです。

 

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