レムデシビル 米機関は“回復早める” 英医学雑誌“効果なし”
以下は、記事の抜粋です。英医学雑誌に掲載された中国での結果については全文を転載しています。
新型コロナウイルスに効果があるか研究が進められている薬「レムデシビル」について、アメリカの国立の研究機関は、患者の回復を早めることが確認されたと発表しました。一方で、イギリスの医学雑誌には、「有意な効果はみられなかった」とする論文が掲載され、来月中旬以降、発表される見通しの臨床試験の結果に注目が集まっています。
「レムデシビル」は、新型コロナウイルスの患者の治療に効果があるかまだ分かっておらず、世界各地で安全性や有効性を確かめる臨床試験が進められています。
こうした中、アメリカの国立衛生研究所(NIH)は4月29日、臨床試験の一部を分析した結果、この薬を投与された患者は回復までの日数が平均で11日だったのに対し、投与されなかった患者は平均で15日だったとして、患者の回復を早めることが確認されたと発表しました。
NIHのファウチ医師は「この薬がウイルスの働きを止めることが証明された」と述べ、今後、標準的な治療として使われるようになるという見方を示しました。また、この薬を開発しているギリアド社も、この日、別の臨床試験で「前向きな結果が得られた」と発表しました。
一方で、同じ日、イギリスのLancet誌には、これらの臨床試験とは別に、中国でおよそ230人の患者を対象に行った臨床試験の結果、「統計上、有意な効果はみられなかった」とする論文が掲載されました。この臨床試験は、予定していた数の患者が集まらなかったため中止になったということです。
各国で行われている臨床試験の結果は来月中旬以降、発表される見通しで、その結果に注目が集まっています。
Lancet誌に掲載された論文のタイトルは、”Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial”です(論文をみる)。
以下は、その論文に書かれているSummary(要約)中のFindings(所見)からの抜粋です。
Remdesivir was stopped early because of adverse events in 18 (12%) patients versus four (5%) patients who stopped placebo early.(和訳:有害事象のためにレムデシビルを早期に中止した患者は18例(12%)だった。一方、プラセボを早期に中止した患者は4例(5%)だった。)
論文中に、重症患者が武漢で急激に減ったために当初の目標患者数に到達しなかったは書かれていますが、それが中止の原因ではなく、レムデシビルの有害事象が中止の原因だとはっきり書かれています。以下は、その部分の転載です。
However, a higher proportion of remdesivir recipients than placebo recipients had dosing prematurely stopped by the investigators because of adverse events including gastrointestinal symptoms (anorexia, nausea, and vomiting), aminotransferase or bilirubin increases, and worsened cardiopulmonary status.(和訳:しかし、消化器症状(食欲不振、悪心、嘔吐)、アミノトランスフェラーゼやビリルビンの増加、心肺状態の悪化などの有害事象を理由に、レムデシビル投与群ではプラセボ投与群よりも高い割合で投与が早期に中止された。)
どうしてNHKや日経新聞はこんな誤解される書き方をするのでしょうか?いくら話題のCOVID-19関連でも、症例数が足りないような臨床試験結果をLancet誌が掲載するかな?30
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