Tylenol linked to asthma in teens
以下は、記事の抜粋です。
8月13日に発表された国際的な研究によって、アセトアミノフェンを摂取している思春期の若者は、喘息、アレルギー性鼻炎や湿疹に罹るリスクが高いことが明らかになった。
アセトアミノフェンを1ヶ月に1回以上飲んだ人は、飲まない人に比べてこれらの病気になるリスクが2倍だという。
しかし、専門家の中には、このような研究ではアセトアミノフェンがこれらの病気をひき起こしたとは言えないと指摘する者もいる。実際、喘息を患っているためにアセトアミノフェンが処方された可能性もある。
元論文のタイトルは、”Acetaminophen Use and Risk of Asthma, Rhinoconjunctivitis and Eczema in Adolescents: ISAAC Phase Three”です(論文をみる)。
対象は、世界50カ国の13歳から14歳の思春期の小児322,959人です。これらの子供について、過去1年間のアセトアミノフェンの服用量と現時点での喘息、アレルギー性鼻炎や湿疹の有無を調べた「後ろ向き」試験です。世界中どこでも同じ傾向がみられたそうです。おもしろい結果ですが、記事にもあるように評価は難しいと思います。
小児に対するNSAIDSの投与はライ(Reye)症候群をおこす可能性があるということで、アセトアミノフェンが小児に最も安全に使用できる解熱鎮痛薬として広く用いられています。通常のNSAIDSでも喘息との関連は否定できないので、この論文が出たからといって、小児にアセトアミノフェン以外のNSAIDSを使用することが推奨されるとは思えません。
また、小児では稀だとされていますが、アスピリン喘息は喘息患者の約10%に認められます。この喘息は、NSAIDSの投与によって誘発され、喘息における誘発発作の強弱や誘発率は、プロスタグランジン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害する力とほぼ相関しています。アセトアミノフェンも例外ではなく、高用量では発作を誘発することが報告されています。
アスピリン喘息のメカニズムを考えると、この論文は小児の場合でもCOX阻害が喘息様症状を誘発する可能性を示唆しているのかもしれません。ただ、著者らはアセトアミノフェンがグルタチオン依存性酵素を減少させて酸素ストレスを増加、その結果TH2細胞を介するアレルギー反応が増強するのではないか、と推測しています。
いずれにしても、子供にはできるだけ解熱鎮痛薬は投与しない。どうしても解熱鎮痛薬を投与する必要がある場合は、やはりアセトアミノフェンを選択することになると思います。
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