日本での風邪診療の「カルチャーショック」
以下は、記事の抜粋です。
日本は医療がフリーアクセスということもあり、特に冬場の診療所や中小病院の外来診療は風邪で受診する患者が多い。一般的な風邪の患者の場合、抗生剤(クラリスロマイシンなど)や解熱剤(ロキソニン)、鎮咳薬(コデイン)、去痰薬(ムコダイン)やトラネキサム酸など多剤処方の「セット」で対応するのは合理的だ。
しかし、英国では、風邪の患者に対する処方は解熱薬(アセトアミノフェンやNSAIDs)が中心だ。積極的に鎮咳薬などを出すこともなく、例えば咳嗽に対して最近の英国のNICEガイドラインは、蜂蜜が咳に効く一定のエビデンスがあるとし、5~10mLの蜂蜜と紅茶を混ぜて服用することを推奨している。
風邪に多剤処方しないことは、医学的に「過小医療」なのだろうか。例えば、American Family Physician のウェブサイトには、風邪に対する薬物療法の最新のエビデンスが分かりやすくまとめられている。「コデインは効果がない」、「抗ヒスタミン単剤では症状の改善はない」、「ムコダイン(カルボシステイン)はプラセボと変わらない」、「ビタミンC、経鼻ステロイドは効かない」とどれも否定的で、解熱薬のみ症状緩和に効果があると唯一推奨されている。
つまり、風邪に対するほとんどの薬物療法には、効果的についての科学的なエビデンスがなく、「良くてもグレー」でしかない。もちろんエビデンスのみでは臨床診療はできない。しかし、風邪に対して解熱薬のみを処方しても、「医学的には決して過小医療ではない」はずである。
この記事は、イギリスの医学部を卒業後、英国の家庭医診療専門医の資格を取得し、キングスミル病院、ピルグリム病院、テームズミードヘルスセンター、WEST4家庭医療クリニックなど、英国内の医療機関で約12年間家庭医として働いた佐々江龍一郎氏が書かれたものです。
この記事を読むと、現在日本の一般の医師が処方している「風邪薬」にはほとんどエビデンスがないことが良くわかります。
話は少し飛躍しますが、日本政府が本気で医療費を減らしたいと考えるのであれば、エビデンスに基づいた風邪対策などの家庭医学教育を正しい性教育と一緒に、現行のつまらない保健・体育を止めて導入すべきだと思います。そうすれば、明らかな風邪で病院を受診する健康なヒトが医療費を無駄使いするのをかなり抑制することができるのではないでしょうか?
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