以下は、記事の抜粋です。
世界人口の平均寿命は1970年と比べて10年以上延びているが、人びとは延びた余生の多くをがんなどによる闘病生活に費やしているとする調査結果が、12月13日のランセット誌で発表された。
2010年の世界平均寿命は1970年と比べ、男性で11.1歳、女性で12.1歳延びた。だが、がんなどの非伝染性の病気にかかる人の数は過去最高に達しており、ハーバード大のJosh Salomon氏によれば「ここ20年で平均寿命は5歳延びたが、そのうち健康に過ごせるのは4年だけ」だという。研究者らは、余命延長にのみ重きを置いた保健政策を見直し、健康維持も重視した政策に転換すべきだと呼び掛けている。
世界の死者数に占めるがんや糖尿病、心臓疾患などの非感染性疾患による死者の割合は、1990年の半分から、2010年には3分の2近くまで増加。2010年のがんによる死者数は800万人で、1990年(580万人)から38%増加した。
2010年に最も多くの死者を生んだ健康リスク要因は高血圧(940万人)と喫煙(630万人)、飲酒(500万人)だった。一方、栄養不足や感染症による死者、妊娠・出産関連の死や新生児の死者数の合計は、2010年では1320万人で、1990年の1590万人から減少した。5歳未満の死者数も70年と比べほぼ60%減の680万人だった。
元論文は7つで、計196ページに及びます。1つの研究で号全体が占められるのはLancet誌では初めてのことだそうです。7つの論文のタイトルは、”Healthy life expectancy for 187 countries, 1990—2010: a systematic analysis for the Global Burden Disease Study 2010″(論文をみる)、”Global and regional mortality from 235 causes of death for 20 age groups in 1990 and 2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010″(論文をみる)、”Common values in assessing health outcomes from disease and injury: disability weights measurement study for the Global Burden of Disease Study 2010″(論文をみる)、”Healthy life expectancy for 187 countries, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden Disease Study 2010″(論文をみる)、”Years lived with disability (YLDs) for 1160 sequelae of 289 diseases and injuries 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010″(論文をみる)、”Disability-adjusted life years (DALYs) for 291 diseases and injuries in 21 regions, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010″(論文をみる)、”A comparative risk assessment of burden of disease and injury attributable to 67 risk factors and risk factor clusters in 21 regions, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010″(論文をみる)です。
記事のタイトルにもありますが、医療上の問題(dominant concern)が若年死亡(premature death)から障害(disability)に移行しつつあることが強く指摘されています。若年死亡が劇的に減少し、人々は長生きになったけれども、痛み、運動障害、精神障害などを持ちながら生きる時間が長くなったと書かれています。
論文の計算によると、1990年以降に1年延びた寿命のうち健康に人々が生きたのは9ヶ月半だそうです。これは、年齢とともに短くなり、50歳以上の場合、健康に生きたのは1年のうち7ヶ月だけだったそうです。
日本の場合、障害がなく健康に生きられるのは平均70歳までだとされています。これは、人生の最後に男性は約10年間、女性は約20年間、障害を抱えて生き、障害の中で死ぬことを意味しています。本論文は、既に世界中がこの問題に直面しつつあることを指摘しています。医学だけでは解決できない問題だと思います。
私はとりあえず、残された健康な時間をどう過ごすかを考えることにします。
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