かゆみ:痛みとは違う別の感覚…脳の反応部位特定 生理研
以下は、記事の抜粋です。
かゆみは痛みとは違う脳の特定の部位で反応していることを、生理学研究所(愛知県岡崎市)の柿木教授らが解明し、米国神経生理学雑誌に掲載された。柿木教授は「かゆみは痛みとは違う独立した感覚」と説明している。
かゆみだけを刺激する装置で実験し、成人男性10人の手首に電気の刺激を与え、脳の内部を観察した。脳内側の中央の後ろの部位「頭頂葉内側部楔前部」が、かゆみだけに反応して活動しているのを発見した。
これまで、かゆみは軽い痛みの感覚で、かゆみと痛みの脳内の反応は同じという説があった。実験の結果、かゆみと痛みの脳内の反応は似ていたが、かゆみだけに反応する部位が見つかり、かゆみの脳内のメカニズムの解明につながりそうだ。
アトピーなどのかゆみの治療は塗り薬や薬剤注射が知られている。今後、かゆみだけに反応する脳の部位の活動を抑える飲み薬など、新しい治療法が期待されるという。
「かゆみだけを刺激する装置」は、電極を人の手首の皮膚に置いて、微弱な電流で刺激を与え、かゆみを起こすそうです。脳内の反応は、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)と脳磁図(MEG)で調べたそうですので、「かゆみだけを刺激する装置」の開発が重要だったようです。かゆみは、肥満細胞から放出されたヒスタミンが、細くて無髄のC線維とよばれる神経線維を刺激しておこると考えられています。開発された装置は、かゆみに関与するC線維を、特異的に興奮させるのでしょう。
「かゆみだけに反応する脳の部位の活動を抑える飲み薬」には少し無理があるように思います。臨床的意義をこじつけなくても、十分に面白い研究だと思います。
現在、かゆみの治療には、塗り薬として、ヒスタミンのH1受容体ブロッカー、局所麻酔薬、ステロイドなどがあり、飲み薬としては、H1ブロッカー、抗アレルギー薬(肥満細胞からのヒスタミンの放出を抑える)などがあります。アトピー性皮膚炎などの激しいかゆみには、免疫抑制薬軟膏(カルシニューリン阻害薬)なども使われます。
血液・脳関門を越えないため、眠気などの副作用がないフェキソフェナジン(アレグラ)などの第二世代H1ブロッカーは、第一世代のものより優れていると思います。
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