抗うつ薬、最低限の用量が効果的 「学会指針見直しを」

抗うつ薬、最低限の用量が効果的 「学会指針見直しを」
以下は、記事の抜粋です。


抗うつ薬は、承認された用量の範囲内の少なめの量を飲むのが最も効果的とする研究結果を、日英などの国際チームがまとめた。

京都大の古川教授や英オックスフォード大などのチームは、副作用が少ないとされる新世代の抗うつ薬に関する77の論文を検証。飲む量が増えるにつれ、薬の効果や服薬を中断する割合がどのように変わるのかを調べた。

いずれの薬も承認された用量内なら、低い用量でも高い効果を示した。それ以上量を増やしても効果はさほど変わらない一方、副作用などにより薬をやめる人は、増えていた。

日本うつ病学会の治療指針は、症状が重い場合には、薬を低用量から始め「有害作用に注意しながら可能な限り速やかに増量する」「十分な最終投与量を投与する」とある。米国精神医学会の治療指針も、副作用が許す限り、最大限の用量を使うとある。

古川さんは「抗うつ薬が効かないなら量を増やすべきだと考えられてきたが、逆効果だと示された。量を増やすより別の薬を試すべきで、治療指針の見直しが必要ではないか」と話している。


元論文のタイトルは、”Optimal dose of selective serotonin reuptake inhibitors, venlafaxine, and mirtazapine in major depression: a systematic review and dose-response meta-analysis”です(論文をみる)。

上の論文で、セロトニン特異的再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor、SSRI)としては、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、およびセルトラリンが調べられています。ベンラファキシンとミルタザピンは、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬に分類される抗うつ薬です。これらの薬は、うつ病、全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害の治療に用いられています。

記事にも書かれているように、現在これらの薬は、高血圧などの治療薬と同様に、最初は低用量で開始して、効果がなければ増量するやり方で使われています。それを「量を増やすより別の薬を試すべき」というのはかなり大胆な提言だと思います。dose-responsibility(用量依存性)という薬理学の基本原理を揺るがす話です。うつ病というヒト独特の病気だからでしょうか?

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