研究論文を出版するための10の簡単なルール

PLoS Computational Biologyのチーフ・エディター、Philip E. Bourneが中心となって書いたTen Simple Rulesシリーズは、プロの科学者として生きていこうとする人々に対して、的確な指針を与えてくれます。

2005年10月の”Ten Simple Rules for Getting Published“(研究論文を出版する)に始まり、その後、”for Getting Grants“(研究資金を獲得する)、”for Reviewers“(論文を審査する)、”for Selecting a Postdoctoral Position“(ポスドク職を選ぶ)、”for Successful Collaboration“(成功する共同研究)、”for Making Good Oral Presentations“(良い口頭発表をする)、”for a Good Poster Presentation“(良いポスター発表)、”for Doing Your Best Research, According to Hamming“(第一級の研究をするための、Hamming先生によるアドバイス)、”for Graduate Students“(大学院生のため)、”for Aspiring Scientists in a Low-Income Country“(低所得国で科学者をめざす)、”for Organizing a Scientific Meeting“(学術集会を組織する)、”to Combine Teaching and Research“(教育と研究の両立)、そして2009年6月の”for Choosing between Industry and Academia“(産業か大学かの選択)まで続いています。

全部で13の”Ten Simple Rules“が発表されていますが、今日は、最初の”Ten Simple Rules for Getting Published“を紹介します。原文には、個々のルールのもっと詳しい説明がありますので、わかりにくい時は、原文を確認してください。

Rule 1: Read many papers, and learn from both the good and the bad work of others.
できるだけたくさんの論文を読み、他の研究者の良い研究や悪い研究から学びましょう。1日最低2つの論文を読み、良いか悪いかを批判する習慣をつけましょう。

Rule 2: The more objective you can be about your work, the better that work will ultimately become.
自分自身の研究に対して、客観的になることができればできるほど、良い研究ができます。

Rule 3: Good editors and reviewers will be objective about your work.
良いエディターやレビューアーは、あなたの研究を客観的にみてくれます。理想的には、レビューアーが論文を改善してくれますが、投稿した論文に基本的なミスがあれば、助けてくれません。自分で論文をできるだけ良いものにしてから投稿しましょう。

Rule 4: If you do not write well in the English language, take lessons early; it will be invaluable later.
英語で上手に論文を書くことができなければ、先ずその訓練を受けなさい。あとで非常に役に立ちます。文法を正しく書くことも大切ですが、わかりやすく論理的に書く事はもっと大切です。

Rule 5: Learn to live with rejection.
リジェクトとともに生きる事を学びなさい。自分の研究に客観的にならないと、リジェクトは耐え難く受け入れがたいものになるし、リジェクトを繰り返すことになります。最も優れた科学者でも、その経歴はリジェクトで溢れています。リジェクトや大幅な改訂を要求された時は、レビューアーのアドバイスを聞き、主観的ではなく、客観的に対応しましょう。レビューアーのコメントは、その論文がどう判断されたかを反映しています。レビューアーに指摘されたポイントに対しては、カバーレターと本文の両方で、完璧に対応しましょう。

Rule 6: The ingredients of good science are obvious—novelty of research topic, comprehensive coverage of the relevant literature, good data, good analysis including strong statistical support, and a thought-provoking discussion. The ingredients of good science reporting are obvious—good organization, the appropriate use of tables and figures, the right length, writing to the intended audience—do not ignore the obvious.
良いサイエンスの材料は明白です。それは、研究課題の新しさ、重要な文献すべての熟知、良いデータ、強力な統計的サポートを含む良い解析、示唆に富む刺激的なディスカッションです。良い科学的報告(論文)の材料も明白です。それは、良い構成、表や図の適切な使用、適切な長さ、対象とする読者を意識して書くことです。当たり前のことも無視せずに書きましょう。自分で書いた初稿は、客観的に読み返してみましょう。メンターに頼ってはいけません。できれば、当該研究にあまり関心や関係がないような研究者に読んでもらい、率直な意見を聞きましょう。

Rule 7: Start writing the paper the day you have the idea of what questions to pursue.
課題が決まったその日から論文を書きはじめなさい。このやり方によって、対象をしぼり、仮説に基いた研究を進めやすくなります。論文は簡潔に書きましょう。

Rule 8: Become a reviewer early in your career.
できるだけ早い機会に論文審査をする。論文を審査することは、良い論文を書くのに役立ちます。最初は、メンターに来た論文審査を手伝うことから始めましょう。

Rule 9: Decide early on where to try to publish your paper.
どの雑誌に投稿するかを早く決める。雑誌によっては、投稿前に問い合わせることもできる場合もあります。

Rule 10: Quality is everything.
論文の質が最も重要。良い雑誌に1つの論文を発表する方が、イマイチの雑誌にたくさん論文を発表するよりも良い。インパクト・ファクターの高い雑誌に投稿しよう。

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