臓器別ではなく、がんのマイクロサテライト不安定性を指標としてチェックポイント阻害剤が承認

キイトルーダ使用、全てのがんで 標準治療が難しい場合
以下は、記事の抜粋です。


オプジーボと同様の作用をする免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ(一般名・ペムブロリズマブ)」について厚生労働省の部会は11月29日、遺伝子検査で薬がきくとわかれば、血液がんを除く成人の全てのがんで使うことを了承した。進行・再発したがんで標準治療が困難な場合に限るが、臓器に軸をおかずに薬の使用を認めるのは初。

がん治療薬は、肺や胃など臓器の種類を基本に使用範囲が認められてきた。今回のような承認により、患者が少ない部位のがんでも、早く薬が使えるようになると期待されている。

キイトルーダは現在、悪性黒色腫や肺がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮がんの一部に対し承認されている。肺がんの治療に使う場合、年間の薬剤費は約1200万円。一部の患者に高い効果がみられるが、その割合は2割程度のため、効果が事前に予測できる指標が求められてきた。

今回の指標は、傷ついた遺伝子がどの程度修復できるかみる「マイクロサテライト不安定性(MSI)」。MSIが高いと遺伝子変異数も多く、腫瘍の中に免疫にとってがんの目印になる物質も多く、免疫チェックポイント阻害剤が効きやすいとされる。

米の研究では、MSIが高い患者の場合、がんが進行しない人も含めると7割以上の患者に効果があったという。MSIが高い患者は固形がん全体で約3%。子宮がんや大腸がん、胃がんに多い。

国立がん研究センターの吉野氏は「臓器別に治療方針を立てる時代から、臓器を超えて治療する新しいがん治療の幕開けになる」と話している。


昨年の5月23日、米国食品医薬品局(FDA)は「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構の欠損(deficient mismatch repair: dMMR)の固形がん」を対象として、キイトルーダ®(一般名・ペムブロリズマブ)について、承認を行ったと発表いました。今回の承認は、アメリカの判断に追従するものです。

なお、アメリカでは、オプジーボ®(一般名・ニボルマブ)は約2カ月遅れの8月1日に承認されているので、日本でも間もなく承認されると思います。

散発性大腸がんでは、6~7%で高頻度マイクロサテライト不安定性が認められるそうです。大腸がん以外は子宮内体がん、胃がん、小腸がんに多く、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんには少ないとされています。

なお、マイクロサテライト不安定性の検査は、保険診療として実施可能な場合があり、診療点数は2,100点(21,000円)で、その3割負担等、各個人に応じた割合が自費となります。今後は、キイトルーダ®やオプジーボ®と共にその需要が伸びると思います。

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