♀ネコを長期に不妊化する遺伝子治療

手術しなくてもメスのネコの避妊ができる注射が開発される、野良ネコの殺処分減少に期待
以下は、記事の抜粋です。


望子宮や卵管の働きを抑制するホルモンを産生するDNAベクターをメスのネコに注射するという、従来の不妊手術に代わる方法をマサチューセッツ総合病院の研究チームらが発表しました。

人間がペットとしてネコを飼育している場合、不妊手術を行うことは比較的容易ですが、野良ネコの場合、地域の野良ネコすべてに不妊手術を行う際には膨大なコストや時間がかかります。また、不妊手術を受けていない野良ネコを放置すると、個体数が増加し、フンや尿による環境の悪化や、ネコと車の衝突事故の発生件数の増加などが起こり得ます。現状増えすぎた野良ネコの対処には殺処分といった方法が用いられ、倫理的な面から問題になっています。

マサチューセッツ総合病院のダヴィッド・ペパン氏らの研究チームは、メスの体内にあるミュラー管から形成される「抗ミュラー管ホルモン」(AMH)と呼ばれる、子宮や卵管などの働きを抑制するホルモンに着目して、AMHのレベルを特定のしきい値を超えて上げると、卵巣と卵胞の成長が抑制されることを発見しました。卵巣や卵胞の成長を抑制すると、排卵や受胎のプロセスを効果的に防ぐことができるとされています。

研究チームは、メスのネコのAMHレベルを上げるために、アデノ関連ウイルスを用いた遺伝子治療用ベクターを作成しました。

遺伝子治療用ペクターを注射することで、筋細胞にAMH遺伝子を送達し、本来卵巣だけ産生されるAMHを筋細胞でも産生することが可能になります。ペパン氏によると、筋細胞でもAMHを産生することで、体内のAMHの全体的なレベルが通常の約100倍に上昇するとのこと。

また、筋細胞は基本的に生涯にわたって死滅することはないため、注射によって導入されたAMHを産生する遺伝子は、一生続く可能性があることが推測されています。

研究チームは、遺伝子治療用ペクターを注射した6匹のメスのネコと、注射を行わなかった3匹のメスのネコを比較しました。2年にわたる観察の結果、注射を受けなかった3匹のネコはすべて子どもを出産しました。一方で遺伝子治療用ペクターを注射したネコのうち1匹は合計9回にも及ぶ交尾を行いましたが、結果は6匹とも出産することはありませんでした。また、注射を受けたすべてのメスのネコに注射による副作用は現れなかったことが報告されています。

獣医師のフィリップ・ゴダン氏は「注射から2年以上立ってもメスのネコのAMHレベルは高い状態を維持しており、AMHレベルを上昇させる注射を打つことで妊娠の可能性は長期間にわたって低下しているようです」と述べています。

しかしThe NewYork Timesは「野良ネコに注射を受けさせるためにはまずネコを捕獲する必要がありますが、ワナなどを回避することが得意なネコの存在は、個体数の管理を難しくする可能性があるという問題があります」と指摘しています。


手術よりは簡単そうなので、普及するかもしれません。コストはどのくらいなのでしょうか?

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