免疫チェックポイント阻害薬に関連する致死的な治療関連有害事象の種類とその発症時期を検証したメタアナリシス試験の結果
免疫チェックポイント阻害薬に関連する致死的な治療関連有害事象の発症時期、種類などを検証したメタアナリシス試験の結果が9月13日、JAMA Oncology誌に公表された。
本試験は、2009年より2018年の期間の16,000,000件以上の治療関連有害事象を対象に、抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ)、トレメリムマブ、抗PD-1/PD-L1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ)、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)、アテゾリズマブ(商品名テセントリク)、アベルマブ(商品名バベンチオ)、デュルバルマブ(商品名イミフィンジ)に関わる致死的な治療関連有害事象の発症時期、種類などを検証した。
本試験の結果、2009年より2018年の期間に報告された致死的有害事象は613件であり、各免疫チェックポイント阻害薬レジメンごとの種類は下記の通りである。
ヤーボイ、トレメリムマブなどの抗CTLA-4抗体薬単剤療法で発症した致死的な治療関連有害事象は合計193件、最も多いのは大腸炎70%(135件)、肝炎16%(31件)。
オプジーボ、キイトルーダ、テセントリク、バベンチオ、イミフィンジなどの抗PD-1/PD-L1抗体薬単剤療法で発症した致死的な治療関連有害事象は合計333件、内訳としては肺炎35%(115件)、肝炎22%(115件)、大腸炎17%(58件)神経毒性15%(50件)。
抗PD-1/PD-L1抗体薬+抗CTLA-4抗体薬併用療法で発症した致死的な治療関連有害事象は合計87件、内訳としては大腸炎37%(32件)、心筋炎25%(22件)、肝炎22%(19件)。
また、有害事象の発症時期は、抗CTLA-4抗体薬単剤療法で治療開始後40日、抗PD-1/PD-L1抗体単剤療法で治療開始後40日、併用療法で治療開始後14日。どの治療レジメンも、致死的な有害事象が治療開始の早期のタイミングで発症していた。
元論文のタイトルは、”Fatal Toxic Effects Associated With Immune Checkpoint Inhibitors: A Systematic Review and Meta-analysis”です(論文をみる)。
記事にもありますが、オプジーボ®などのチェックポイント阻害薬関連の致死的な治療関連有害事象の発症率は0.3%から1.3%程度と他の抗がん剤に比べて非常に稀です。しかし、免疫チェックポイント阻害薬はがんの中心的な治療方法として、今後はより早期の治療ラインで処方される機会が増えてくると思われます。
また、これまでの化学療法とチェックポイント阻害薬の併用も増える可能性が高いので、併用の場合の致死的有害事象についても知る必要があると思います。
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