サプリと薬の危険なのみ合わせ 血圧下げる降圧薬とEPAはNG
以下の文章は、「女性セブン」2018年10月25日号に掲載されるそうです。同じ記事の他の部分は問題ないですが、タイトルにもなっている「薬学博士で医療評論家の生田哲さん」の言っている「血圧下げる降圧薬とEPAはNG」という内容には、科学的な根拠がありません。
副作用に留意し、効果のないものは摂らないようにしたとしても、健康食品やサプリメントには別の“落とし穴”が存在する。薬学博士で医療評論家の生田哲さんが言う。
「サプリメントには薬のような用法・用量が定められていません。そのため、摂取量や摂取方法を間違えると思わぬ症状を招く場合さえあります。特に気をつける必要があるのは、薬とののみ合わせです」
生田さんが解説する。
「血圧を下げる『降圧薬』と併用することで危険な状態を招くサプリメントは多い。たとえば青魚に多く含まれるオメガ脂肪酸『EPA』のサプリメントや、うなぎやスッポンに含まれ、成長ホルモンの分泌を促したり免疫力を高める『アルギニン』のサプリメントは、血液をサラサラにする働きがある。降圧薬と同時にのむと血圧がいちじるしく低下し、めまいやふらつきが起こり、ひどければ倒れてしまう可能性もあるのです」
抗酸化作用を持ち生活習慣病の予防やアンチエイジングなどに効果を発揮する、ごまなどに含まれる「セサミン」も同様の理由で「のみ合わせNG」だ。
生田氏の論理は、「血液をサラサラにする働きがあるサプリと降圧薬を同時にのむと血圧がいちじるしく低下する」というものですが、「血液をサラサラ」≒「血液を固まりにくくする」とした場合、どこかから大量出血でもしない限り、血圧がいちじるしく低下することは考えられません。
EPAは、「イコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid)」の略で、「日本薬局方」によると、抗血小板作用(血小板膜リン脂質中のEPA含有率を上昇させ、アラキドン酸代謝を競合的に阻害することによりトロンボキサンA2産生を抑制し、血小板凝集を抑制する。)と血清脂質低下作用(血清総コレステロール、トリグリセリドの低下作用)などが医学的に認められていますが、血圧低下作用については書かれていません。
また、高脂血症などに対する医薬品として承認されているEPA製剤のイコサペント酸エチル(エパデール®)の「日本薬局方」の注意書きにも、抗凝血剤や血小板抑制剤などとの併用については出血を助長する恐れがあるとして併用を注意すると書かれていますが、降圧剤との併用については一言も書かれていません。
さらに、アルギニンやセサミンについても、血圧に対する効果どころか、「血液サラサラ」に対する効果についても、信頼できるような科学的根拠はありません。
EPAと本当に危ない薬の組み合わせがあるとすれば、上にも書きましたが、アスピリンなどの血小板阻害薬やワーファリンやエドキサバンなどのXa阻害薬のような血液凝固を抑制する、いわゆる「血液をサラサラにする薬」です。出血を助長する恐れがあります。こんな生田哲さんですが、たくさん本を書いています。気をつけましょう。
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