「汗をかいてデトックス」はウソだった
以下は、記事の抜粋です。
発汗は、今や健康や美容のトレンドになっている。遠赤外線サウナからホットヨガまで、タオルが汗でびっしょりになるアクティビティはリラクゼーション効果があるだけでなく、体の毒素を排出して健康を保つとも言われている。
だが、汗をかいて毒素を排出するという説は、汗をかいて弾丸を搾り出すというのと同じくらいありえない話であることが、最新の研究で明らかになった。汗と一緒に毒素も排出されるというのは、都市伝説に過ぎなかった。
人間が汗をかくのは体温を下げるためであって、老廃物や有毒物質を排出するためではない。その役目を負うのは、腎臓と肝臓である。
農薬、難燃剤、そして現在は禁止されているもののまだ環境中に残っているポリ塩化ビフェニル(PCB)などの「残留性有機汚染物質」は、食品や環境中に存在する「毒」と一般に考えられているが、脂肪に引き寄せられる性質があるため、水でできている汗には溶けにくい。
普通の人が激しい運動を行ったとしても、1日の発汗量はせいぜい2リットルほどだった。そして、それだけの汗をかいても汚染物質は0.1ナノグラム以下しか含まれていない。言い換えると、普段の食生活で体内に取り込む汚染物質のうち、汗で出る量は0.02%に過ぎず、さらに運動を激しくしたとしても、0.04%程度までしか増えない。
つまり、どんなに大量の汗をかいたとしても、その日体内に摂取した汚染物質の1%すら排出できないということだ。
一方、発汗デトックス産業の勢いは止まらない。最新の流行は、遠赤外線サウナだ。電気ヒーターや蒸気ではなく、遠赤外線の光を熱源とする。遠赤外線サウナによるデトックス効果の宣伝文句は、実際の科学に基づいたものではない。
アメリカの消防署では、消防隊員が煙を浴びて体内に取り込んだ化学物質を汗と一緒に排出し、がんも予防できるとして、遠赤外線サウナを購入したところもあるそうだが。がんを予防できるという宣伝文句は科学的に実証されていない。
やりすぎると命取りになることさえある。カナダの35歳の女性が、デトックス・スパトリートメントを受けた。泥パックをしてラップで包まれ、頭に段ボール箱をかぶせられ、毛布にくるまって9時間横になり汗をかき続けた。それから数時間後、熱中症により女性は死亡した。
シュワルツ氏は、次のように話す。「希望を持つことはとても大切ですが、一部の人間は、その希望を利用して何も知らない消費者にとんでもないものを売りつけようとするのです」
サウナで汗をかくのが体に良いと思っている友人のためにこの記事を紹介します。
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