1回飲むだけのインフル新薬、5月に発売へ
以下は、記事の抜粋です。
1回飲むだけの新たなインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」が5月にも発売される見通しになった。ウイルスの増殖を抑えるこれまでになかったタイプ。塩野義製薬が開発した。従来の薬に耐性を持ち、効きにくくなった人にも効果が期待される。
厚生労働省の部会が2日、製造販売を了承した。順調にいけば3月に承認され、5月にも薬価が決まり発売される。
A型、B型のインフルエンザウイルス感染症が対象。年齢や体重によって異なる量の錠剤を1回飲む。成人の場合、1日2回、5日間飲み続けるタミフルなどと比べて使いやすいのが特徴だ。塩野義製薬によると、既存薬よりも他人にウイルスを感染させるリスクを減らせると期待される。
国内でよく使われるタミフルなどの4種のインフル薬は、細胞内で増殖したウイルスが細胞外に広がるのを抑える。このタイプの薬が効かない耐性ウイルスが流行した時に、ゾフルーザは効果を発揮しそうだ。
ゾフルーザは、有望な薬を早く実用化するために優先的に審査する、先駆け審査指定制度の対象になっている。
新薬情報オンラインに書かれているように、ゾフルーザ®(一般名:バロキサビルマルボキシル)は、これまでのタミフル®(一般名:オセルタミビル)などの抗インフル薬がノイラミニダーゼという酵素を阻害することで、感染細胞からインフルエンザウイルスが遊離して他の細胞に感染するのを抑える作用を持っていたのと異なり、下図のように、キャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑えるとされています。
昨年の10月に発表された”CAPSTONE-1″と名付けられた第3層臨床試験の結果によると、 ゾフルーザ®(S-033188 、baloxavir marboxil)はかなり有望だとされています。
症状の軽減とウイルスの減少に至る時間がタミフル®と比べて短く、A型にもB型にも、さらにはH5N1やH7N9Bのトリインフルエンザにも口から1回飲むだけで有効だとされています。
“CAPSTONE-1″はインフルエンザと診断された1,436名の患者を調べた二重盲検臨床試験です。患者をゾフルーザ®群(1回経口投与)、タミフル®群(5日間投与)、プラセボ群の3つに分け、効果を調べました。
その結果、投与1,2,4日目にウイルス陽性率は、ゾフルーザ®群がタミフル®群よりも有意に低く、ウイルスが排出停止までの時間は、ゾフルーザ®群24時間、タミフル®群72時間、プラセボ群96時間でした。
解熱時間は、ゾフルーザ®群24.5時間、プラセボ群42時間。感染前の状態に戻る時間は、ゾフルーザ®群129.2時間、プラセボ群168.8時間でした。また、副作用の発生率は、ゾフルーザ®群20.7%、タミフル®群24.8%、プラセボ群24.6%でした。
インフルエンザは、ほとんどの場合、投薬なしでも回復する病気です。タミフルは、上記のようにそれほど効果があるとは言えない薬ですが、日本では大量に使われています(世界消費の70%といわれています)。ということで、問題は、インフルエンザと診断された場合に、いきなりゾフルーザ®を投与することが保険適用されるかどうかだと思います。
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