BACE阻害剤「ベルベセスタット」、アルツハイマー病の第III相試験を中止‐有効性が認められず

【米メルク】BACE阻害剤「ベルベセスタット」、ADの第III相試験を中止‐有効性が認められず

以下は、記事の抜粋です。


米メルクは、軽度・中等度のアルツハイマー型認知症(AD)患者を対象としたBACE阻害剤「ベルベセスタット」の第II/III相試験「EPOCH」を中止すると発表した。

外部データモニタリング委員会が同試験の中間解析でリスクベネフィット評価を行った結果、「有効な臨床効果が認められる可能性はない」と判断し、中止を同社に勧告した。

一方、ADによる軽度認知障害(MCI)を対象とした第III相試験「APECS」については継続するよう指示し、これを受け、メルクではAD発症初期をターゲットとした開発にシフトする方針だ。


以前の関連記事で、「ベルベセスタットは、ヒトにおいても副作用を起こすことなく、健常者とアルツハイマー病患者の脳脊髄液中のβ40、Aβ42、sAPP量を減少させたそうです。あとは、認知機能の低下を阻止できるか、できれば改善できるかです。『フェーズ3』の結果に期待しましょう。」と紹介したBACE1(Beta-secretase 1)という酵素の阻害薬です。

BACE1は、γ-セクレターゼとともにアミロイドβ前駆体蛋白質(APP)を切断し、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβを生じさせる酵素です。γ-セクレターゼ阻害薬の失敗は、別の関連記事で報告しました。

以前にも、アミロイドβペプチドで免疫すると患者のアミロイド班は減少した、神経症状は改善しなかったことが報告されています(論文をみる)。どうやら、アミロイドβ産生を抑制する酵素の阻害などのアミロイドβを減らす作戦ではアルツハイマー病の治療は難しいということになりそうです。

今後の臨床試験で、軽度認知障害(MCI)の段階で飲めば有効ということになると、医療費の爆発的増大が予想されます。

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