心血管系リスクを下げるスタチン、服用停止後も効果持続?

心血管系リスクを下げるスタチン、服用停止後も効果持続

以下は、記事の抜粋です。


コレステロールを下げるスタチン系薬剤は、服用を停止して6年経過後も心血管系リスクを下げる効果があり、健康への悪影響も認められなかったとする研究結果が11月23日公表された。

スタチンは、脂肪分子を動脈壁に付着させて心臓病や脳卒中のリスクを増大させる肝酵素を阻害するもの。世界で年間200億ドル(約1兆5000億円)相当が売れ、その効果と広範囲での活用から、「21世紀のアスピリン」とも呼ばれる。一方で、心臓や肝臓に長期的に及ぼす影響やがんリスクが上昇する可能性への懸念があった。

オックスフォード大の研究グループは、心血管疾患のリスクがある2万536人を無作為に2つのグループに分け、1日40mgのシンバスタチンかプラセボを5年以上服用してもらった。この間、スタチンを服用したグループでは悪玉(LDL)コレステロールが減り、心血管疾患の発現もプラセボグループより23%少なかった。

被験者の観察は、実験終了後も6年間続けられた。この間、スタチンのグループでは服用停止後も効果は持続していた。追跡期間中に約3500人ががんを発症したが、スタチングループとプラセボグループの発症率はほぼ同じだった。


元論文のタイトルは、”Effects on 11-year mortality and morbidity of lowering LDL cholesterol with simvastatin for about 5 years in 20 536 high-risk individuals: a randomised controlled trial”です(論文をみる)。

この記事のタイトルにある「服用停止後も」というところは「臨床試験終了後も」と書き直す必要があります。臨床試験終了後、患者は、各個人の病態に応じて適当な治療を受けました。実際には、スタチン群もプラセボ群も約75%の患者がスタチンを服用しています。だから、「服用停止後も」という表現は誤りです。

LDLコレステロール値(mmol/L)は、試験前は両群とも3.4、試験中はスタチン群が2.3でプラセボ群が3.3、試験後は両群とも2.6です(日本で良く使われるmg/dl表示に変換するには、その数値に38.61をかけます。)。それでも、試験終了後のスタチン群とプラセボ群のイベント発生率が変わらなかったというのはすごいと思います。また、「コレステロールを下げるとがんになり易い」という俗説も否定されました。

これらの結果から研究者らは、スタチン治療はできるだけ早くスタートし、できるだけ長期にわたって行うべきであると主張しています。

コメント

  1. taniyan より:

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    tak先生
    お早う御座います。
    何時も有益な記事アップ感謝しています。
    40歳から降圧薬と同時に30年超え服用、しかし頸動脈は65%閉塞。
    この春、医師を変え、クレストール5mgに変薬。
    退縮現象もあり、のエビデンスもあるようなので駄目元で期待しています。
    今日も授業、研究?、お疲れ様です。
                   taniyan

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