厚労省 承認用量でも漫然投与で依存性 ベンゾジアゼピン系薬等44成分の添付文書改訂指示
以下は、記事の抜粋です。44成分はそのまま掲載します。
厚労省医薬・生活衛生局は3月21日、催眠鎮静剤、抗不安薬、抗てんかん薬で使用されるベンゾジアゼピン受容体作動薬などの医療用医薬品について、承認用量の範囲内でも漫然とした継続投与により依存性が生じることがあるとして、医療現場に注意喚起するため44成分の添付文書を改訂するよう、日本製薬団体連合会に通知で指示した。
具体的には、添付文書の「重要な基本的注意」の項で、連用により薬物依存が生じることがあると指摘し、漫然として継続投与を避けることを明記することにした。「重大な副作用」の項では、用量や使用期間に注意することなどを追記することにした。
改訂指示のあった44成分は以下のとおり。(カッコ内が製品名、承認取得企業)
アルプラゾラム(コンスタン錠、武田テバ 他/ソラナックス錠、ファイザー 他)
エスゾピクロン(ルネスタ錠、エーザイ)
エスタゾラム(ユーロジン錠、同散、武田テバ 他)
エチゾラム(デパス錠、同細粒、田辺三菱製薬 他)
オキサゾラム(セレナール錠、同散、第一三共 他)
クアゼパム(ドラール錠、久光製薬 他)
クロキサゾラム(セパゾン錠、同散、第一三共)
クロチアゼパム(リーゼ錠、同顆粒、田辺三菱製薬 他)
クロラゼプ酸二カリウム(メンドンカプセル、マイランEPD)
クロルジアゼポキシド(コントール錠、同散、武田テバ 他)
ジアゼパム(セルシン錠、同散、同シロップ、同注射液、武田テバ 他/ホリゾン錠、同散、同注射液、丸石製薬 他/ダイアップ坐剤、高田製薬)
ゾピクロン(アモバン錠、サノフィ 他)
ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー錠、アステラス製薬 他)
トリアゾラム(ハルシオン錠、ファイザー 他)
ニメタゼパム(エリミン錠、大日本住友製薬)
ハロキサゾラム(ソメリン細粒、同錠、第一三共)
フルジアゼパム(エリスパン錠、同細粒、大日本住友製薬)
フルタゾラム(コレミナール錠、同細粒、沢井製薬)
フルトプラゼパム(レスタス錠、日本ジェネリック)
フルニトラゼパム(サイレース錠、エーザイ 他/ロヒプノール錠、中外製薬 他)
フルラゼパム塩酸塩(ダルメートカプセル、共和薬品工業)
ブロチゾラム(レンドルミン錠、日本ベーリンガーインゲルハイム 他)
ブロマゼパム(レキソタン錠、同細粒、中外製薬 他)
メキサゾラム(メレックス錠、同細粒、第一三共)
メダゼパム(レスミット錠、塩野義製薬 他)
リルマザホン塩酸塩水和物(リスミー錠、塩野義製薬 他)
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス細粒、同錠、Meiji Seika ファルマ 他)
ロラゼパム(ワイパックス錠、ファイザー 他)
ロルメタゼパム(エバミール錠、バイエル薬品/ロラメット錠、あすか製薬)
クロナゼパム(リボトリール錠、同細粒、中外製薬/ランドセン錠、同細粒、大日本住友製薬)
クロバザム(マイスタン錠、同細粒、大日本住友製薬)
ミダゾラム(ミダフレッサ静注、アルフレッサファーマ)
ニトラゼパム(ネルボン錠、同散、第一三共 他/ベンザリン錠、同細粒、塩野義製薬 他)
アモバルビタール(イソミタール原末、日本新薬)
セコバルビタールナトリウム(注射用アイオナール・ナトリウム、日医工)
ペントバルビタールカルシウム(ラボナ錠、田辺三菱製薬)
フェノバルビタール(フェノバール原末、同散、同錠、同エリキシル、藤永製薬 他/フェノバール注射剤、藤永製薬/ワコビタール坐剤、高田製薬/ルピアール坐剤、久光製薬/ノーベルバール静注用、ノーベルファーマ)
フェニトイン・フェノバルビタール(複合アレビアチン配合錠、大日本住友製薬)
フェニトイン・フェノバルビタール・安息香酸ナトリウムカフェイン(ヒダントール配合錠、藤永製薬)
プリミドン(プリミドン錠、同細粒、日医工)
トリクロホスナトリウム(トリクロリールシロップ、アルフレッサファーマ)
ブロモバレリル尿素(ブロバリン原末、日本新薬 他)
抱水クロラール(エスクレ坐剤、同注腸用、久光製薬)
私の周辺でも、べンゾジアゼピンの常用依存」という病気の存在すら認めない精神科医がほとんどです。アルコールと同じで、長期に服用しても依存にならないヒトも多いので、認知されにくいのだと思います。
ゾルピデムは睡眠薬として最も良く処方され、「非ベンゾジアゼピン系」とよばれていますが、依存性はベンゾジアゼピン系」と同じようにあります。依存性以外にも、持ち越し効果、前行性健忘、奇異反応などの副作用があります。特に筋弛緩作用は高齢者の転倒・寝たきりの原因になるので、安易に処方や服用を継続しないことの啓発が重要だと思います。
ベンゾジアゼピン系およびその類縁の薬物は、精神科や神経内科だけでなく、一般内科や整形外科で、デパス®などの薬が不眠はもちろん、筋緊張性頭痛や肩こりや腰痛などの症状に対して長期処方されることは珍しいことではありません。
「ベンゾジアゼピンから離脱させることは、ヘロインから離脱させるよりも困難である。」という研究者もいます(記事をみる)。また、ベンゾジアゼピン系薬物が認知症リスクを増加させるという報告もあります(記事をみる)。
欧米でのベンゾ系薬物に対する規制は厳しく、日本ではロヒプノール®やサイレース®という名前で良く知られているフルニトラゼパムは、アメリカでは「持ち込み禁止薬物」、フランスでは「麻薬と同等の処方制限の対象」になっています。「連用により薬物依存が生じることがある」などというあいまいな表現ではなく、欧米並みに処方期間を4週間以内とする規制を早急に導入する必要があると思います。
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コメント
「『連用により薬物依存が生じることがある』などというあいまいな表現ではなく、欧米並みに処方期間を4週間以内とする規制を早急に導入する必要がある」
という点に同感です。
薬物依存が生じない人が何故、いるのかを議論することは別問題であり、
とりあえず今、社会で広く合意が形成できるとしたら、
「常用依存」状態に陥る人を出さないように具体的な規制をかけることでしょう。