こむら返りにはアルカローシスが関与しています
m3という医療関係者のサイトで、こむら返りの質問に対して「エルル」さんという方が見事に答えられていました。以下は、その抜粋です(注釈:ブログ筆者)。
“こむらがえり”の筋攣縮のメカニズムとして、アルカローシス(体液のpHがアルカリ性に傾くこと)の関与が考えられています。アルカローシスになりますと、Caイオンとアルブミンの結合性が高まりイオン化Ca濃度が減少します(論文をみる)。そして、Ca濃度を一定に保つために,大急ぎで,筋肉細胞の筋小胞体からCaイオンが放出されるため,筋攣縮が起こってしまいます(論文をみる)。
さらに、こむら返りの引き金として、濃縮性アルカローシス(体液量減少性alkalosis)という病態も強く関与してきます。ですから、予防策として、低カリウム性のアルカローシスにならないように電解質を補充しつつ脱水を予防するのです。芍薬甘草湯も、甘草に細胞周辺の水分を貯留させる働きがあり、 希釈性acidosisを生じさせていると思われます。
サッカーの試合の後半でこむら返りが起きるのも、脱水によるアルカローシスとエネルギー枯渇によるATP不足のために起きていると考えています。 スタチンを併用していると、CoQ10の合成阻害のため、ATP産生が減少します。 アルカローシスの是正、脱水の予防、エネルギー回路の回復、がこむら返りの治療戦略です。
芍薬甘草湯は漢方の原典である「傷寒論」に記載されている漢方薬で、筋肉の痙攣「こむらがえり等」に処方されてきた。ただし、甘草は低カリウム血症に注意する必要がある。なぜならば甘草に含含まれるグリチルリチン酸が副腎皮質ホルモンであるコルチゾールをコルチゾンに変換する酵素を阻害し、増加したコルチゾールが尿細管の鉱質コルチコイド受容体に作用してナトリウムの再吸収を促進させ、カリウム排泄を増加させるため低K+血症を生じやすいからである。 登山家自身や、この薬剤を処方する山岳診療所の医師の中には、芍薬甘草湯を処方して薬効があった印象を持っている人は多い。しかし低K+血症を生るメカニズムから考えると「こむらがえり」の予防や治療に、芍薬甘草湯を処方する気にはならない。
ということで、水分を補給し、カリウムの多い食品を摂るように勧めて、それでも治らなければ芍薬甘草湯を追加するということでしょうか。
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