体重を落とせばがんリスクが低下する可能性

体重を落とせばがんリスクが低下する可能性
以下は、記事の抜粋です。


過体重または肥満の女性は、減量によりがん関連タンパク質の値が低下し、がん発症リスクが低減する可能性があることが、新たな研究で示された。VEGF、PAI-1、PEDFと呼ばれるタンパク質は、腫瘍が増殖するために必要な血管の成長を促進する働きがある。研究グループは、女性が体重を大きく落とすほど、これらのタンパク質の値が大幅に低下することを突き止めた。

フレッド・ハッチンソンがん研究センターのCatherine Duggan氏によると、一般に、減量により乳がん、大腸がん、前立腺がんのリスクは最大20%低減するとされるが、その要因として、脂肪組織中の炎症関連因子の減少だけでなく、これらのタンパク質の値の低下も挙げられる可能性があるという。

体重が増えると、脂肪に酸素と栄養を運ぶ新たな血管が必要となるため、血管新生を促すタンパク質も増大する。腫瘍が増殖を始めるのに適した環境をつくると考えられている。

今回の研究では、過体重および肥満の閉経後女性439人(50~75歳)を4つのグループのいずれかに無作為に割り付けた。各群は、1日2000kcal以下に制限する食事療法群、週5日の中等度または高強度の運動を行う有酸素運動プログラム群、食事療法と運動の併用群、またはいずれも実施しない群であった。研究開始時と1年後、被験者の血液を採取した。

その結果、食事療法と運動を併用した群では2~11%の体重減少がみられたのに対し、これらのプログラムに参加しなかった群の体重減少は1%未満であった。さらに、食事療法も運動もしなかった群に比べて、食事療法群または食事療法・運動併用群では血管新生を促すタンパク質の値が有意に低かった。しかし、運動のみの群ではこの効果は認められなかったという。


元論文のタイトルは、”Dietary Weight Loss and Exercise Effects on Serum Biomarkers of Angiogenesis in Overweight Postmenopausal Women: A Randomized Controlled Trial”です(論文をみる)。

VEGFはvascular endothelial growth factor、PAI-1はplasminogen activator inhibitor-1、PEDFはpigment epithelium-derived factorの略です。VEGF以外はあまりなじみのないタンパク質ですが、論文によるとがんが必要とする血管をつくるのに必要なタンパク質だそうです。

太ったヒトががんになり易いかどうかを調べれば良いと思うかもしれませんが、がんに罹って痩せている可能性があるので、実際には難しいです。この論文の方法は間接的ですが、着眼点がおもしろいと思います。

体重は、中性脂肪と正の、アディポネクチンと負の綺麗な相関を示していました。他のEGFやPDGFなどの、より腫瘍増殖と関連した因子はどうなるのでしょう?

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