マングースはハブと闘わない 有害外来生物をつくり出した学者の責任
以下は、記事の抜粋です。
日本で、もっとも深刻な生態系被害をもたらしている外来種にマングースがいます。マングースは、西アジアから東南アジアにかけて分布する雑食性の哺乳類で、日本では、沖縄島と奄美大島に定着しています。外来種としての歴史は古く、1910年に沖縄島に最初に導入されました。マングースが持ち込まれた理由は、島内のネズミと毒ヘビ・ハブを退治するためだったとされます。
これらの動物を駆除するための天敵として、マングースを島に導入することを提案したのは、当時、動物学の権威であった東大・渡瀬庄三郎教授(1862-1929)でした。
わずか16~17匹ほどの導入個体は、沖縄島でみるみるうちにその数を増やし、生息数は最高3万匹に達したと推定されています。1970年代までマングース神話は続き、79年には沖縄島から奄美大島にも本種が導入されました。
ところが、その後の調査で、マングースが実はハブ退治の役には立っていないことが分かってきました。80年代に入って研究者たちがマングースの胃内容物や糞を分析した結果、ハブを食べている個体はほとんどおらず、代わりに沖縄ではオキナワキノボリトカゲやヤンバルクイナ、奄美ではアマミトゲネズミやアマミノクロウサギ、ケナガネズミなどの島固有の希少種が犠牲となっていることが明らかとなったのです。
ハブみたいに危険な動物を餌にしなくとも、もっと楽に食べられるものがあれば、当然、そちらから食べ始めます。で、沖縄や奄美大島でマングースの餌としてその目に留まったのが、よちよちと地面を無防備に歩いているヤンバルクイナやアマミノクロウサギたちだったのです。
渡瀬氏は、他にもアメリカザリガニやウシガエルの導入も積極的に進めたと書かれています。これらの導入は「食用」のためだったそうです。
関連記事で紹介した平成天皇が皇太子の時代に1960年にアメリカから導入したブルーギルの話を思い出しました。たった15匹からスタートして、今や日本中の淡水域で大増殖を重ねています。琵琶湖の二ゴロブナやモロコなどの日本の固有種を駆逐しているとされています。こちらはマングースよりも駆除は難しいと思います。
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