人間は「認知症になりにくい」ように進化した?
以下は、記事の抜粋です。
ヒトは進化の過程で、高齢になっても精神機能を低下させないための遺伝子変異をもつようになったことが、カリフォルニア大学サンディエゴ校のAjit Varki氏らの研究で示唆され、論文が11月30日掲載された。
原則として、脊椎動物では、生殖できなくなった個体は死ぬようにできている。しかしヒトと一部のクジラはその例外であり、そのため高齢者は重要な知識を後代に伝え、孫の世話をするといった作業を手助けできると、著者らは説明する。
研究では、アルツハイマー病に抵抗する遺伝子変異であるCD33の濃度が、ヒトではチンパンジーの4倍であることがわかった。また、APOE2とAPOE3と呼ばれる遺伝子変異も、認知症を予防するために進化したと思われることも判明した。
「高齢者が認知症になると、その社会は知恵や知識の蓄積、文化の重要な情報源を失う。さらに、軽度の認知機能の低下があり、影響力のある地位にある高齢者が間違った決断をすれば、その集団に害を及ぼす可能性もある。今回の研究はCD33やAPOEなどの保護的な遺伝子変異の選択に関与する要因を直接証明するものではないが、この推測は妥当といえるだろう」と共著者の1人は話している。
元論文のタイトルは、”Human-specific derived alleles of CD33 and other genes protect against postreproductive cognitive decline”です(論文をみる)。
65歳以上の高齢者の認知症の割合は下記の通りです(厚生労働省研究班推計(2013))。ヒトが長生きしすぎたのか、進化が不十分だったのか、、、
・65~69歳 2.9%
・70~74歳 4.1%
・75~79歳 13.6%
・80~84歳 21.8%
・85~89歳 41.4%
・90~94歳 61.0%
・95歳以上 79.5%
コメント