原発に関するQ&Aまとめ

原発に関するQ&Aまとめ

以下は、記事の抜粋です。最新情報はオリジナルのサイトをご覧ください。


1. 被曝について

Q. いま現在、報道されてる程度の放射線量でも被曝するものなのでしょうか?
A. 放射性の原子が数十~数百個皮膚に付着しただけで、ガイガーカウンターで被曝が検出されます。今回の被曝程度は分かりませんが、被曝の検出感度は非常に高いものです。

Q. 間接的な被曝などについては心配したほうがよいのでしょうか。たとえば近海で獲れた魚とかには気をつけたほうが良いのでしょうか?
A. 漏れた放射性物質の量が、いま報道されているレベルなら心配ありません。自然界にも放射線を出す物質は沢山あります。

Q.「外に出ない」ということが防御策となりますか?
A. 原発の近くに行かないことが第一です。政府の避難指示20kmが目安です。そして外気に触れないことです。

Q. 20km以上離れれば安全ということですが、外気に触れないというのは、東京でも同様でしょうか。
A. 福島と東京のあいだは250km以上離れていますので心配無用です。

Q. ではなぜ20kmに拡大したのでしょうか?
A. 政府の判断基準はわかりませんが、アメリカで1979年に発生したスリーマイル島の原発事故の時は16km以遠には影響が及ばなかったとされています。このデータから推測すると、政府の避難指示は適切だと思います。

Q. 東京在住の人は、肌を露出しての外出は控えるべきでしょうか?
A. その必要はありません。20kmという政府の避難指示は妥当です。被曝は風で運ばれる放射性物質によって引き起こされ、遠くなればなるほど放射能は薄まるので、東京にいる方が心配することはありません。

Q. 放射線が漏れ出した場合、範囲はどこまで及びますか?
A.漏れた放射性同位元素量と,天気(特に風)がわからないと、予測困難です。今回同様格納容器が無事だったスリーマイル島の場合は,10マイル(16km)より遠いところには影響が及ばなかったとされています。

Q.一時的に放射線の量が上下しましたよね。その理由はなんですか?
A.容器の内圧を下げるため排気していて、その時に放射性のキセノンやヨウ素が出たと考えられます。現在の状況では格納容器を守るほうが重要なので、これは避けられないものであったといえます。

Q. 最悪の場合はどうなるのでしょうか?
A. どうなるかは、放出量と天気で決まります。ヨウ素131は空気より重いので、風が弱ければあまり遠くまで拡散しません。半減期も8日と短いです。

Q. 放射性物質の半減期はもっと長いのかと思っていました。
A. キセノン137の半減期は3.8分であり、半減期が30年のセシウム137に変化するおそれがあるので、油断はできません。

Q. 1 時間で放射能が1/100 に落ちるというのが、ちょっと解せません。風向きとかでしょうかね。
A. 放出されるのは、キセノンやクリプトンなどの希ガスの短寿命放射性同位元素が多いのです。たちまちレベルが落ちたなら、放出は長時間に及ばなかったと推測されます。

Q. 第一原発付近の双葉厚生病院にて被曝者が出ているようなのですが?
A. 第一原子力発電所の北北西4kmあたりのところにある、双葉厚生病院のグラウンドで自衛隊のヘリコプターによる搬送を待っていた三人が被曝したようです。除染(まずは体を洗う)が必要ということは、ここでの被曝とは原発から風で運ばれた放射性同位元素が体に付着しているという意味のようです。

Q. ヨウ素131による被曝は、どのていど危険性ですか?
A. 今回放出された可能性がある放射性同位元素のうち、ヨウ素131は特に気化しやすく、体内に吸収されると内部被曝を起こすのは確かです。そのため対応策の話が多く出ていますが、ヨウ素131は、一般的な甲状腺治療にも使われている核種でもあり、治療に用いられる程度の量では甲状腺がん増加の報告はありません。

2. 純水・海水での冷却について

Q. (冷却に用いるのは)真水でなく海水で問題ないのでしょうか?
A. 原子炉配管は「純水」が常識ですが、今は冷却の方がはるかに重要です。純水を使っていたのは主にメンテナンス期間を伸ばしてコストを下げる為です。この炉をまた使うということは考えられないとおもいます。

Q. 「純水」でないとどのような問題があるのでしょうか?
A. 簡単に言うと、配管が錆びて、穴が開いて、放射能が漏れます。だから原子炉の冷却水は通常は純水です。今はそんなこと言っていられる状況でないので、とにかく海水で冷却が必要なのです。

Q. 錆びて穴が空くという事態は、今すぐに生じ得る問題ではないと考えてよいのでしょうか?海水を入れた装置を今後使わなければ問題ないということですか?
A. 「長期運転するうちに穴があく危険が」という意味です。今は冷却することが先決です。

Q. アメリカから援助船が向かっていますが純水を得られる手だては有るのでしょうか?
A. 「いま」冷やすことが必要です。格納容器をホウ酸入海水で満たして、冷却しきることが大事です。

Q. そもそも地震直後に運転停止はなぜできないのでしょうか?
A. 「運転」は停止しています。制御棒を入れ、核分裂連鎖反応は止まっています。しかし、核分裂で生じた放射性同位元素が燃料棒にあるので、その崩壊熱で温度が上昇しますから、冷やす必要があるのです。

Q. 海水で満たすというのは最後の手段ですか?仮に失敗した場合はどうなるのですか?
A. 決断したからには、何としてもやり遂げて格納容器内を冷やさねばなりません。現場の方々の御努力に期待します。

Q. 今後の容器の崩壊は免れたのでしょうか?
A. 現在は無事ですが,海水を入れて格納容器内を冷やすことが必須ですね。

Q. 冷却に成功すれば大惨事は回避出来たと考えていいのでしょうか?
A. はい。現場の方々のご努力に期待します。

Q. 冷却水がどこかから漏れていたということは、海水を入れてもどこかから漏れてしまい、満たすことができないと思うのですが。だからこそ、圧力容器ではなく格納容器ごと満たそう、ということでしょうか?
A. 確かな回答が出来るだけの情報がありません。「漏れていた」といいうのは、水面低下データにもとづく推測です。

Q. 冷却水の循環が止まった結果沸騰して水蒸気になった可能性はあるのでしょうか。
A. 水を圧縮しても体積は減らないので、水蒸気圧力上昇で水面が大きく下がることはありません。やはり水がどこかから失われたと考えるのが妥当だと思います。

3. ホウ酸について
中性子捕獲に有効なのは質量数10のホウ素原子核です。ホウ酸はホウ素を含む水溶性の物質。これを海水に混ぜて、冷却水として原子炉に注入しています。

Q. ホウ酸には、どのような効果があるのでしょうか?
A. 原子炉内で中性子を吸収するのに有効です。一応、制御棒は入っていますが、燃料が制御棒の守備範囲の外に出てしまった場合、ホウ素を入れておけば核分裂の連鎖反応が始まるリスクを抑えられると考えられます。

Q. 海水・ホウ酸投入ということは、事態が収まった後も炉をつかえなくなるということでしょうか?
A. 燃料棒が破損していることは明らかなので、事態が収まったらすぐに運転再開などということはあり得ません。

4. 爆発について
Q. 何故福島第一原発は水素爆発したんでしょうか。格納容器と建屋の間に水素が充満していたという事ですか?
A. 燃料棒に用いるジルコニウムという物質は、高温になるほど水と反応し、水素を発生させます。水素は配管などを通じて格納容器の外に漏れ出し、建屋内に溜まっていたとみられています。この水素が酸素と反応し爆発したとみられています。

Q. 爆発によっても格納容器は壊れていないということですが、水素の爆発によるエネルギーが、格納容器を破損するほど大きくないということでしょうか?
A. はい。建屋は壊れますが、格納容器は丈夫です。これが原子炉の重大事故を防ぐ最後の砦です。格納容器は破壊されなかったらしいので、ひとまず安心です。格納容器が守られていれば、大惨事にはなりません。

Q. もし格納容器から直接漏れ出しているとしたら、水素爆発が起こった時に容器内まで誘爆してしまうと思うのですがどうでしょうか。
A. 格納容器内には窒素が充填されているので、容器内まで誘爆は起こらないはずです。

Q. 格納容器は破損していないのですか?
A. 福島第一原子力発電所が公表しているモニタリングカーによる放射線計測を信じれば、格納容器が無事であることは確かと思います.

5. 原発の稼働状況等について

Q. 「いわゆる原子炉の暴走」って何ですか?
A. チェルノブイリ事故のように、核分裂が制御不能になり、原子炉出力が標準的な運転出力の10倍にもなってしまう場合のことです。ただし今回の場合は、原子炉としては運転を停止しているので、意味が違います。それでも、冷却水のレベルを下げないようにすることは必要です。

Q. 東京電力によると、モニタリングポストは、8カ所とも機能していないということですが?
A. 第一原子力発電所のモニタリングポストは動いていませんが、第二原子力発電所のものは動いています。

Q. リアルタイムモニターはないのでしょうか?
A. 第二発電所のモニターは動いていますが、第一のモニターは昨日(3/11)から動いていません。福島県の放射線モニターも動いていません。

[3/13 13:00追記] ただし、東京電力がモニタリングカーによる計測を続けています。

Q. 福島第二の状況も気になります。冷却が十分でないのは同じと思いますが、第一と同様の対応が必要でしょうか。
A. 気になりますが、3/13 13:00現在、周辺の放射線レベルは正常値です。福島第二原子力発電所の排気筒からは、放射性物質は放出されていません。[日付訂正]


このページは、東大理学系研究科の早野龍五教授が、ツイッター上で一般の方から寄せられた質問に回答した記録をもとに、有志がツイッターに馴染みがない人にも読みやすいように編集してくださったものだそうです。私のような素人にも良くわかるように書かれているので紹介しました。

私は上のQ&Aを読んで初めて、今回の原発事故が理解できたと思いました。そして、マグニチュード9.0という途方もない巨大地震がおこったことを考えれば、福島の原発は非常に良くコントロールされているとも思いました。また、原子炉建屋の爆発から発表までに5時間かかったのには少し心配しましたが、女川原発のモニターで、福島で漏れたと思われる放射性廃棄物を検知したことまで発表されたことで、報道発表も誠実に行なわれていると感じました。

昨日の夕方、「東日本大震災 特別号外」という朝日新聞の号外が家のポストに入っていました(下写真)。私は朝日は購読していないので驚きました。5つの大見出しがあり、1面の大見出しは、「3号機も冷却不全」、2面と3面は見出しがなく、4面の大見出しは、「被爆の不安 刻々拡散」でした。被爆の不安を拡散させたいのでしょうか?

テレビもインターネットも見ることができる阪神間で、このような「号外」を出すセンスにも驚きましたが、いたずらに不安を煽るその姿勢にはもっと驚きました。

同じ、地震被災地域にある女川や青森の東通の原発には、今のところ大きな異常は報告されていません。また、福島のものも含めて、これらの原発は海辺に建っているのにもかかわらず、大津波になんとか耐えています。このまま住民の一時避難だけで済めば、むしろこれらの原発の安全性を証明することになるのではないかと思います。マスコミは、これらの事実を正しく評価し、報道して欲しいと思います。

コメント

  1. ニセまめ より:

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    大変わかりやすいQ&Aの掲載ありがとうございます。
    私を含め、多くの方々の不安解消に役立つと思います。ありがとうございました。

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