空腹感を軽減しながら筋肉量を維持する減量薬が開発される
以下は、記事の抜粋です。
シンティス・バイオが開発したSYNT-101はを服用すると、ドーパミンと過酸化水素という2つの主要成分が小腸内でカタラーゼと作用し、ポリドーパミンとして知られる膜を形成します。この膜が小腸上部を覆い、約24時間持続した後、自然に排出されます。
このメカニズムにより、満腹感を促進して体重減少をサポートすると同時に、体重から体脂肪を除いた重さを指す除脂肪体重、体脂肪以外の筋肉、骨、内臓などの重量を維持することができるとされています。
近年ではオゼンピックやウゴービのような「GLP-1」ホルモン受容体に作用する肥満治療薬が広く使われていますが、注射が必要なものが多く、しばしば吐き気などの副作用を伴います。一方でSYNT-101は1日1回投与の錠剤であり、より自然な食欲調節ホルモンの分泌を促すと言います。
げっ歯類を用いた前臨床試験において、SYNT-101は除脂肪体重を100%維持しつつ、6週間にわたって1週間あたり1%の一貫した体重減少を示したとのこと。
ヒトでの試験においても、被験者は同じく週平均1%の体重減少を記録したほか、カロリー摂取量の10%減少、空腹時血糖値の8%低下を示しました。シンティス・バイオは「特筆すべき点は、除脂肪筋肉量が研究期間中完全に維持され、有害事象は認められなかったことだ」と記しています。試験中は、空腹ホルモンであるグレリンのレベルが低下し、食欲を調整するレプチンのレベルが上昇するという、有望なホルモンの変化も明らかになりました。組織サンプルからは、体内で膜が予想通りに形成され、1日以内に安全に除去されることが確認されたとのことです。
シンティス・バイオの臨床アドバイザーを務めるルイス・アロンヌ医師は、「現在のGLP-1薬の大きな落とし穴は、体重減少に伴う除脂肪体重の減少と、副作用があることです。SYNT-101は、これらの問題を完全に回避できる可能性があります」と指摘しました。シンティス・バイオによると、2025年後半に治験許可申請書を提出し、その後すぐに第1相臨床試験を開始する予定とのことです。
上記のように、SYNT-101 は、栄養吸収を近位小腸から遠位小腸にリダイレクトすることで、胃バイパス手術と同様の効果を生み出し、血糖コントロール、体重減少、エネルギーバランスの改善をサポートする代謝変化を誘発するように設計されています(シンティス・バイオのHPをみる)。
「ゼプバウンド」(一般名チルゼパチド)などの持続性GIP/GLP-1受容体作動薬や新しい経口薬の治験成績が良かったためか、イーライ・リリー社の株価は爆上がりしています。しかし、この記事をみると、まだまだ抗肥満薬には伸びしろがありそうです。
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