第一世代抗ヒスタミン薬クロルシクリジンがC型肝炎に有効かもしれない

安価なアレルギー薬、C型肝炎に有効か 米研究
以下は、記事の抜粋です。


くしゃみ、鼻水などの症状に効く安価なアレルギー薬が、C型肝炎の治療に有効かもしれないとする論文が、4月8日のScience Translational Medicine誌に発表された。

C型肝炎の治癒が可能な最新の抗ウイルス薬は、4か月の投薬に8000ドル(約96万円)もの費用がかかる。一方、抗ヒスタミン剤「クロルシクリジン塩酸塩(CCZ)」では、錠剤1個の薬価が50セント(約60円)程度に抑えられる。

米国NIHのShanshan He氏らの研究チームは、C型肝炎患者は世界で約1億8500万人に上るが、既存薬の新たな活用が希望をもたらす可能性があると述べている。

研究では、FDAの承認が既に下りている薬剤のライブラリーを詳細に調べ、C型肝炎の治療に役立つ可能性のある認可薬の候補を探した。そして、約50年前にFDAに認可されたCCZに、C型肝炎ウイルス(HCV)が人間の肝細胞に侵入するのを阻害する働きがあることを突き止め、これによって感染を防ぐことができると分かった。

ヒト肝細胞を移植したマウスを用いた実験では、CCZはHCVを阻害しただけでなく、薬剤耐性を引き起こすこともなかった。さらに、他のC型肝炎治療薬と同時に投与すると、より効き目が高くなることも確認された。


元論文のタイトルは、”REPURPOSING OF THE ANTIHISTAMINE CHLORCYCLIZINE AND RELATED COMPOUNDS FOR TREATMENT OF HEPATITIS C VIRUS INFECTION”です(論文をみる)。

残念ながら、クロルシクリジンは日本では処方薬としても市販薬としても認められていません。日本で認可されているクロルシクリジンと構造の良く似たホモクロルシクリジン(ホモクロミン®)は、第一世代の抗ヒスタミン薬でアレルギーの症状を抑えるために用いられていますが、ホモクロルシクリジンに抗C型肝炎作用があるのかどうかは、論文の要約を読んだだけではわかりません。構造が非常に良く似ているので、抗C型肝炎作用の有無は興味深い問題だと思います。

C型肝炎に対する直接作用型抗ウイルス薬は、疾患概念を大きく変えるほど治療効果の大きな薬物ですが、関連記事にも書いたようにそのコストが問題です。既存の安価な薬物に著明な治療効果があれば、経済的にもありがたい話だと思います。

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