マタタビを与えられたネコがする不思議な反応は、蚊を避けるための行動だった

実は酔ってなかった「マタタビ反応」 ネコの生態を研究する岩手大農学部教授・宮崎雅雄さん<ブレークスルー 2024>
これは大発見です!私もネコはマタタビに酔っていると思っていました。以下は、記事の抜粋です。


ネコはマタタビに含まれるマタタビラクトンの香りを嗅ぐことで酔っぱらい、転がっているとされていました。しかし、この物質が特定されたのは60年以上前でした。そこで、マタタビの成分を分離。ろ紙に染み込ませてネコに嗅がせる実験を繰り返して、強いマタタビ反応を示す物質を絞り込んでいったところ、マタタビラクトンより「ネペタラクトール」という物質に最も強く反応しました。

ネペタラクトールがマタタビに含まれていることも、マタタビ反応を引き起こしていたことも、世界初の発見でした。さらにネコはネペタラクトールを嗅ぐと、人が幸せを感じた時に脳内で分泌され、「幸せホルモン」と呼ばれる「エンドルフィン」も増えていました。

-ネコはネペタラクトールの香りで幸せを感じているのですか。
私はそもそも、陶酔がマタタビ反応を引き起こすという定説が疑問でした。実は、マタタビ反応はライオンなどの大型のネコ科動物でも確認されています。ライオンとネコが分岐したのは1千万年以上前。単に酔っぱらって転がるだけの、生存に不可欠とは言えないような反応機構が、1千万年にわたって受け継がれてきたとは考えにくいのです。しかし、その理由はなかなかわからず、研究は行き詰まっていました。

20年、リバプール大のジェーン・ハースト教授が来日した際、ネコのマタタビ反応について見解を聞くと「転がっているのではなく、マタタビの葉に体をこすり付けているのでは」とヒントをもらい、ハッとしました。オマキザルなども虫よけの目的で、体にかんきつ系の果物の皮を塗っていることが知られています。

そこでネペタラクトールを含んだろ紙を、床ではなく天井や壁に貼り付けると、ネコは転がらず、頭や顔をろ紙にこすり付けました。それから研究が一気に加速。ネペタラクトールは蚊よけの効果があり、さらにかむと効果が持続することや、依存性や毒性がないことも次々分かりました。ネコは、病原体である寄生虫を蚊が媒介する「フィラリア症」などにかかることがあり、最悪死に至ります。生存には不可欠で、本能的な行動として身に付いたのでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました