『糖尿病標準診療マニュアル2024(第20版)』速報 ~ここが変わった!~
重要なので自分用にメモしておきます。
今回の改訂では、セマグルチド経口剤が少しランクアップしました。
[ステップ1]
ビグアナイド薬(メトホルミン)に変動はありません。メトホルミンは低価格であり費用対効果(「コスパ」)が非常に高いのも特長です。
[ステップ2]
DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬も、前版での位置づけから変わっていません。「ステップ1」の薬剤を処方できない場合は、「ステップ2」から開始します。
①DPP-4阻害薬は、単剤では低血糖を来しにくいこと、体重増加を来さないこと、腎不全でも慎重投与可能であること、服薬回数が少ないことなどの特長を備えています。DPP-4阻害薬は、GLP-1受容体作動薬やチルゼパチドとの併用を避けることが必要です。
②SGLT2阻害薬については、心血管疾患の二次予防効果や心不全入院リスクの低下、腎アウトカム改善を示すエビデンスが続出しております。SGLT-2阻害薬を積極的に投与開始してよい条件として、「心血管疾患の既往、心不全、微量アルブミン尿・蛋白尿、肥満」が挙げられています。CKDであれば猫も杓子も腎保護効果が期待できるというわけではありませんから、過剰な期待・誇大宣伝にはくれぐれも気をつけましょう。ちなみに、『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』では、「eGFR 20mL/分/1.73m2以上かつ顕性アルブミン尿を呈する2型糖尿病のすべての患者において投与開始が考慮される。腎機能が高度に低下している症例、正常から微量アルブミン尿、1型およびそのほかの糖尿病におけるDKDにおいても有効性が期待されるが、今後のエビデンスの集積に応じて適応を考慮する必要がある」と解説文中に記載されています。
※eGFR:推算糸球体濾過量、DKD:糖尿病関連腎臓病
[ステップ3]セマグルチド経口剤がランクアップ
「SU薬(少量)またはグリニド薬」に代わり、「GLP-1受容体作動薬(経口薬)」がフローチャート(図)に初登場しました。セマグルチド経口剤(商品名リベルサス)。DPP-4阻害薬との併用は避ける。
管理目標値
重要な管理項目と目標値は従来通りです。大血管症に関しては、それ以上に厳格に管理することによる上乗せ効果は認められていません。
体重 BMI 25kg/m2以上の場合:5%以上の減量
血圧 診察室血圧130/80mmHg(家庭血圧125/75mmHg)未満
HbA1c 7.0%未満
LDLコレステロール 120mg/dL未満、冠動脈疾患を合併する場合は100mg/dL未満(非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、CKD、メタボリックシンドローム、主要危険因子の重複、喫煙を合併する場合は70mg/dL未満を考慮する)
腎症病期分類の改変
分類法自体は変わりがないのですが、病期名が具体的になりました。近年登場した糖尿病関連腎臓病(DKD)という概念も反映されているでしょう。新分類名の方が治療方針決定の点で有用性が高いのは、一目瞭然です。
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