「伝染性」がん、北米の二枚貝にまん延 研究
以下は、記事の抜粋です。
米国とカナダの北東沿岸沖に生息する食用二枚貝に「伝染性のがん」がまん延しているとの研究論文が、4月9日のCell誌に掲載された。コロンビア大学などの研究チームが発表した論文は、この特異な種類の白血病の詳細を世界で初めて明らかにした。
論文主執筆者のStephen Goff氏は、2009年に海洋生物学者からの依頼を受け、二枚貝(オオノガイ、Mya arenaria)の病気がウイルス性のものであるかを調査した。
その結果、体内の細胞が突然変異して発生する大半のがんとは異なり、この白血病細胞(の遺伝子)は、病気にかかった二枚貝の各個体の細胞とは異なり、貝から貝に伝染している1種類のがん性細胞株であることが示唆された。
Goff氏は、「驚いたことに、腫瘍の遺伝子型は、それらが増殖している宿主動物と一致しなかった。東海岸全体で採取した腫瘍サンプルを調べると、その多くがほぼ同一のものだった。腫瘍株として動物から動物に拡散し、伝染していったと考えられる」と語った。
この種の伝染性のがんは、哺乳類ではこれまでに2種類しか知られていない。1つはタスマニアデビルの間に広まった顔面腫瘍で、もう1つは性感染するイヌのがんだ。
元論文のタイトルは、”Horizontal Transmission of Clonal Cancer Cells Causes Leukemia in Soft-Shell Clams”です(論文をみる)。
ウイルスではなく、細胞そのものが個体間を移動してがんをひきおこすという話は知りませんでした。二枚貝だけでなく、タスマニアデビルやイヌなどの哺乳動物でも同様の現象があることも知りませんでした。このタイプのがん細胞は、非常に上手く宿主の免疫機構をスリ抜ける方法を持っているのでしょう。興味深い研究対象だと思います。
コメント
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この種のがんは人にはありえませんか?
また、このがんの研究は、人のがんの治療法の開発に関係はありえますか?
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>やすさん
イヌなどの哺乳類で見つかっているのであれば、ヒトにもある可能性はあります。また、他の個体の細胞の場合は、通常であれば免疫機構によって排除されるのに、排除されないことです。がんの免疫治療の開発や臓器移植の拒絶反応などの研究に関係するかもしれません。
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>takさん
tak先生、ご説明どうもありがとうございました。