現在日本では、季節性インフルエンザ(A型)が猛威をふるっています。以下は、タミフルなどの抗インフルエンザ薬のインフルエンザへの使用について、某医療関係者サイトに投稿された質問と質問者が選んだベストアンサーです。秀逸なので、ほぼそのまま紹介します。
Q: 抗インフルエンザ薬 必要?
当院は500床の中規模病院で感染症科があり、小児や高齢者以外では抗インフルエンザ薬は処方しない方針で、ERでも研修医のほとんどの先生が早期のインフルのかたに対しても処方していません。
タミフルは内服しても約半日程度の解熱しか効果なく、風邪ですからと説明しています。リレンザやイナビルも処方していません。ましてゾフルーザは採用がありません。処方ができません
A:季節性インフルエンザへの抗インフルエンザ薬については、IDSA(2018)、WHO(2022)、CDC(2024)、AAP(2024)といった世界的なガイドラインに言及があります。どれも内容は同じようなもので、抗インフルエンザ薬を推奨するのは入院患者や重症患者、高リスク患者で、原則オセルタミビルを推奨しています。これらにあてはまらない通常の患者には原則抗インフルエンザ薬は不要となっています。実際、世界では軽症のインフルエンザに抗インフルエンザ薬はほとんど使われていません。
日本には季節性インフルエンザへの全年齢を対象としたガイドラインはありません(日本感染症学会は「提言」の中で、軽症のインフルエンザへの抗インフルエンザ薬処方を概ね肯定するような書き方はしています)。小児への抗インフルエンザ薬については日本小児科学会の「2024/25シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」の中ではっきり言及されています。内容は前述の世界的なガイドラインに書いてあることに似ており、幼児、重症化リスクが高い患者、症状が強い患 者への抗インフルエンザ薬の投与を推奨しています。
それ以外の患者では各医師の判断で投与を考慮するとしていますが、 インフルエンザの多くは自然軽快する疾患であり、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではない、としています。薬の選択については、症状が強い患者、呼吸器疾患のある患者で推奨しているのはオセルタミビルのみで、全年齢層で使えます。バロキサビル、マルボキシルは12才以上だけでの推奨、ザナミビル、ラニナミビルは6才以上だけでの推奨となっています。ペラミビルはこれらが使えない場合にのみ使えます。
抗インフルエンザ薬のエビデンスについては前述のCDCリコメンデーションによくまとまっています。軽症例への抗インフルエンザ薬投与のエビデンスとして、症状持続期間を短縮するというメタアナリシスや、入院は抑制しないというメタアナリシスを採用しています。入院患者への抗インフルエンザ薬の有効性については、質の高いRCTは存在しないがいくつかの観察研究から投与は妥当であろうとしています。
貴院の方針に概ね賛成します。ただ、軽症の小児にも不要だと思います。
日本の学会は製薬会社に忖度している可能性があります。患者も良く洗脳されていて、どう考えても家で寝ていれば良いような基礎疾患のない人も、インフル患者であふれている外来にやってきます。私は、発熱などの症状が強く発症から48時間以内であれば、タミフルを投与することが多いです。
あと、関連記事に引用しているように、いきなりゾフルーザ(一般名:バロキサビル)を投与する医者はヤブと考えて問題ないです。
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