タクシーと救急車の運転手、アルツハイマー病による死亡率低い
以下は、記事の抜粋です。
タクシーと救急車の運転手は、アルツハイマー病による死亡率がすべての職業の中で最も低いことが、ハーバード医学のVishal R. Patel氏らによる住民ベースの横断研究で示された。
アルツハイマー病で最初に萎縮がみられる脳領域の1つに海馬がある。海馬は空間記憶とナビゲーションに使用される脳領域で、研究グループは、空間処理とナビゲーション処理を頻繁に必要とする職業のタクシーと救急車の運転手について、アルツハイマー病による死亡率を他職業と比較し分析した。先行研究で、タクシー運転手は一般集団と比較して、海馬の機能が強化されていることが示されていた。
研究グループは、米国住民ベースの全死亡レジストリである国家人口動態統計システム(NVSS)から、2020年1月1日~2022年12月31日のデータ(死亡時年齢18歳以上)を入手し分析した。データは死亡証明書に基づくもので、ICD-10に基づく死因、死亡時年齢、人種、民族、学歴などのほか、職業に関するデータが含まれている。職業欄は、以前は記述式だったが2020年にコード化され、2020~22年には米国人口の約98%をカバーしていた。
分析対象データセットには、443の職業が含まれていた。そのうち、タクシー運転手と救急車運転手および残り441の各職業の、アルツハイマー病による死亡率を調べ、死亡時年齢およびその他の社会人口学的要因で補正し評価した。死者897万2,221例の職業情報が入手でき、そのうち死因としてアルツハイマー病が記載されていたのは3.88%(34万8,328例)であった。
アルツハイマー病による死亡率は、タクシー運転手が1.03%(171/1万6,658例)、救急車運転手は0.74%(10/1,348例)であった。死亡時年齢等で補正後、救急車運転手は0.91%、タクシー運転手は1.03%で、全職業の中で最も低かった。一般集団の死亡率は1.69%だった。また全職業において、アルツハイマー病による死亡の補正後オッズ比は、タクシー運転手と救急車運転手で最も低かった(両職種統合のオッズ比:0.56)。
こうした傾向は、リアルタイムな空間処理およびナビゲーション処理の必要度が低い他の輸送関連職(バス運転手、船長、航空機パイロット)ではみられず、また他の認知症タイプ(血管性、不特定)でもみられなかった。さらに、アルツハイマー病を主因とした場合と一因とした場合でも、結果は一貫していた。
著者は、「得られた所見は、タクシーや救急車の運転手が行っているようなナビゲーション処理タスクや空間処理タスクが、アルツハイマー病に対する何らかの保護効果に関与する可能性を提示するものであった」とまとめている。
元論文のタイトルは、「タクシー運転手と救急車運転手のアルツハイマー病による死亡率:人口ベースの横断的研究」です(論文をみる)。
タクシーとバスの違いは、決まった道を行くかどうかでしょうか?一般の我々がアルツハイマー病にならないように、ビゲーション処理タスクや空間処理タスクを行うのはどうすれば良いのでしょうか?バーチャルでできそうな気はしますが、、、
「ただ問題はこれがクリスマス号だということだ。高等なジョークと取るべきか。真面目な論文なのか。おそらくその中間なのだろう。」という意見もあります(記事をみる)。
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