農家の子供に少ない小児喘息とアトピー:微生物暴露と小児喘息とは逆相関するがアトピーとはしない

Exposure to Environmental Microorganisms and Childhood Asthma

以下は、論文要約の抜粋です。


背景:伝統的な農場のような、多様な微生物に曝される環境で育った子供は、小児喘息やアトピーから守られる。これまでの研究では、微生物曝露のマーカーとこれらの疾患と逆相関する。

方法:2つの断面研究において、農家で生活している子供と対照群の子供とで、喘息とアトピーの有病率と、微生物曝露の多様性を比較した。PARSIFALという研究では、マットレスダストのサンプル中の環境細菌を検出するため、single-strand conformation polymorphism (SSCP)法を用いてバクテリアDNAをスクリーニングした。もう1つのGABRIELAという研究では、小児の部屋から採取した沈積ダストのサンプルを用いて、培養法により細菌・真菌分類群を評価した。

結果:どちらの研究でも、農家で生活している子供は、対照群の子供と比べて、喘息とアトピーの有病率が低く、多様な環境微生物に露されていた。また、微生物曝露の多様性は、喘息のリスクと逆相関を示した。さらに、特定の微生物、真菌分類群ユーロチウム、リステリア、バシラス、コリネバクテリウムなどへの曝露も喘息リスクと逆相関を示した。

結論:農家で生活している小児は、対照群の小児よりも広範囲の微生物に曝されており、この曝露は、喘息と農家で育つこととの逆相関の大部分を説明できる。


本研究では、一人一人の子供について、その子供の喘息とアトピーの有無を調べた上で、1つの研究では掃除機で集めたその子供のマットレス埃中の微生物を、もう1つの研究では子供部屋の埃中の微生物を調べたものです。

喘息は微生物と逆相関していたが、アトピーはしていなかったので、喘息は微生物暴露で説明できるのではないかという結論です。つまり、都会の子供は微生物に曝されていないから喘息になったという結論です。アトピーが農家で少ないことは確認出来たが、微生物暴露とは無関係のようです。何が原因なのでしょうか?

メカニズムはまったく解りませんが、この結論が正しいとすれば、子供を除菌エアコンの部屋で育てるのが喘息予防に良いのか悪いのか、わからなくなってきました。

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