GLCCI1遺伝子と喘息におけるグルココルチコイド療法に対する反応とのゲノムワイドな関連

Genomewide Association between GLCCI1 and Response to Glucocorticoid Therapy in Asthma

以下は、論文要約の抜粋です。


背景:喘息治療に対する反応性には個人間で大きな違いがあり、治療にまったく反応しない患者がかなり存在する。ゲノムワイドな関連解析によって、吸入グルココルチコイドに対する反応の新しい薬理遺伝学的決定因子を明らかにすることができると思われる。

方法:吸入グルココルチコイド治療に対する肺機能の反応性と関連する変異遺伝子を534,290個のSNPの中から、統計学的に重要そうなものを選んで解析した。その結果、有意かつ再現性のある関連を示す遺伝子が1つ認められた。

結果:SNP rs37972において有意な薬理遺伝学的関連が同定された。rs37972は、glucocorticoid-induced transcript 1遺伝子 (GLCCI1)にマップされ、rs37973とも完全相関した。rs37972とrs37973は共にGLCCI1発現の低下に関連している。臨床試験の結果から、GLCCI1の変異型アリルを有する患者では、吸入グルココルチコイドにより肺機能が改善されにくいことが示唆された。全体では、変異型rs37973アリルをホモで有する患者は、吸入グルココルチコイド投与を受けた場合、野生型アリルをホモで有する患者と比べ、1秒間努力呼気容量増加の平均(±SE)が約1/3しかなく、反応不良のリスクが有意に高い(オッズ比2.36)。この遺伝子型は吸入グルココルチコイドに対する反応が最も悪いグループの約6.6%を占めた。

結論:喘息患者において、GLCCI1遺伝子の機能的変異体は吸入グルココルチコイドに対する反応の大幅な低下に関連する。


2010年度の売り上げ世界1位の薬は、107億ドルのリピトール(一般名:アトルバスタチン)、2位は95億ドルのプラビックス(一般名:クロピドクレル)、3位は83億ドルのセレタイド/アドエア(長時間作用性β2刺激薬サルメテロールと吸入ステロイド剤フルチカゾンの合剤)です。このように、吸入グルココルチコイドは非常に広く使われ、喘息治療の第一選択薬として極めて重要です。

さて、本研究で同定されたGLCCI1は肺と免疫系細胞に発現し、喘息などの疾患において、グルココルチコイド投与によってその発現が強く誘導されることが知られています。グルココルチコイドは、GLCCI1を介したアポトーシスによって、リンパ球や好酸球を減少させて炎症を抑制するので、GLCCI1の減少は免疫細胞のアポトーシスを減弱させ、結果としてグルココルチコイドの抗炎症作用が減弱すると思われます。

GLCCI1のような遺伝子を「薬物感受性遺伝子」とか「薬物感受性決定遺伝子」とかよぶのですが、疾患原因遺伝子と違って、薬物を服用しないとその存在すら明らかになりません。私はこのような遺伝子に興味を持って研究しています。

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