理研、パニック抑制する細胞を発見 – パニック障害の治療法改善に期待
以下は、記事の抜粋です。
ゼブラフィッシュの脳で、腹側手綱核という領域の神経細胞が、危険予測値に対応して活動することを発見。実験で腹側手綱核からの情報を遮断すると、危険を回避する学習である「能動的回避学習」ができなくなった。
逆に、ゼブラフィッシュの腹側手綱核を、「光遺伝学」という手法を用いて人為的に活性化させると、危険を予測しているかのような回避行動が誘導され、危険予測値を植え付けることに成功した。
また、魚類からほ乳類まで進化的に保存されている手綱核は、気分などに関わる脳内神経伝達物質のセロトニンを分泌する脳幹にある縫線核という領域の活動を調節しており、同結果から、危険予測値の情報がセロトニンによって伝わることも判明した。
厚労省のサイトはパニック障害・不安障害について、「突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。とくに、電車やエレベーターの中など閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがあります。」と書いています。
記事に書かれている研究は、ゼブラフィッシュが危険を予測して回避する際に必要な神経細胞群とその伝達物質を同定したものです。サカナはパニックになっているわけではなく、危険を回避しているだけです。
また、セロトニン神経細胞の活動を調節する薬物(SSRIなど)は既にパニック障害治療に用いられています。これらを合わせて考えると、この研究がパニック障害の治療法改善につながる、あるいは役立つことはないと思います。
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