尿の泡立ちについて

「尿が泡立つのは蛋白が出ているから」どう思う?
医療関係者向けのサイト(m3)でおもしろいアンケート結果があったので以下に一部を紹介します。「尿が泡立つのは蛋白が出ているから」と思っている医者が多いようです。


「尿が泡立つのは蛋白が出ているから」の支持率
「ある」 40.8% vs 「ない」 19.8%(n=1715)

「あると思う」「どちらかと言えばあると思う」の意見
尿蛋白が尿の泡立つ原因の一つ
●全身の著明な浮腫を有する患者が受診した。2型糖尿病と診断されていたが10年以上治療を受けていなかった。診察後に、血液と尿検査を行った。患者は尿がすごく泡立って便器全体がビールの泡のように盛り上がるようになったと話した。尿中タンパクは9.8g/gCrとこれまでみたことがないほど多量であった。血清アルブミン値は1.1g/dLと著しい低値であった。総合して糖尿病腎症、糖尿病性ネフローゼ症候群と診断した。尿蛋白は尿が泡立つ原因の一つであると確信した【一般内科】
●泡立つからタンパク質が出ているとは限らないが、タンパク尿の男性(ここ、キモ)が洋式便所で立ち小便をすればほぼ確実に泡立ちます【病理診断科】
尿が泡立つ原因はいくつかあり、一概に否定はできない
●尿が泡立つ原因はいくつかあり、「尿の濃度が高い」、「尿中にタンパクが含まれる」、「尿中の細菌増加」、「尿中に糖が含まれる」などが考えられます。これらの状態には界面活性作用があり、表面張力を弱め、尿の主成分である水の表面積を小さくしようとする力が弱まります。これにより表面積が大きな状態、つまり泡のある状態を保つことができるというメカニズムです。最も多いのは濃縮尿ですが、タンパク尿や尿糖も関連しますので、一概に否定はできません【腎臓内科】
こんな論文も
●蛋白尿の患者100人の尿試料を用いて、比重、卵円形脂肪体(oval fat body)、pH、泡の存在を検討した報告(Lancet. 2000;355:901-902.)によると、尿の表面張力と蛋白量はよい相関関係を示す【小児循環器科】

「ないと思う」「どちらかと言えばないと思う」の意見
「尿が泡立つ」主訴で精査しても…
●25年泌尿器科医をやっていて、この主訴で実際に尿蛋白陽性であったのは、千何人に1人にも満たない。また腎臓内科に精査を依頼したことはゼロである【泌尿器科】
●そういう主訴で受診される方がいるが、尿蛋白陽性の方は滅多にいない。以前、ある医療系のTV番組で泡が30秒以上残れば、尿蛋白の可能性が高いとおっしゃった先生がいたが、何の根拠もない発言だと思う。因みに私は尿が濃い場合、1分以上泡が残っている【泌尿器科】
●紅麴のサプリメント事件がニュースに出始めた頃に「尿が泡立つ」という訴えが増えたが、この訴えで異常所見があった例がない【一般内科】
●その訴えの患者をたくさん診て、納得させるために尿検査をしているが、ほとんど意味がないから。他の理学的所見と患者の訴えに矛盾がなければ意味があるかもしれない【一般内科】


「ある」という回答が多いですが、私もたまたま尿検査でタンパクも糖もマイナスだった被験者から「最近、オシッコが泡立つのですが、大丈夫でしょうか?」と聞かれて、尿検査の結果をみせて即座に否定したことが一度だけあるので、「ない」に一票です。

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